阪神マスコットのトラッキーが15日、大阪市内のミズノ大阪店で一日店長を務め、FA宣言せずに残留することを明言した。今オフ、ヤクルトのつば九郎がマスコット界初のFA宣言を決断。虎の至宝の動向にも注目が集まっていた。生涯虎一筋も宣言し、V奪回とドラ1右腕・藤浪のサポート役も買って出た。

 大人気マスコットらしく店内で愛嬌(あいきょう)を振りまいていたトラッキーが一瞬、口元を引き締めた。悩み抜いた末の決断なのだろう。ミズノ大阪店の一室。すがすがしい表情を浮かべ、球団関係者を通して残留を明言した。

 トラッキー

 生涯、虎です。FA権を行使せずに残留します。FA権は生涯、行使しません。

 今月上旬、球界に激震が走った。ヤクルトのつば九郎がマスコット界初のFA宣言を決断。異業種から注目され、既にFX取引扱い会社や九州忍者保存協会、プロレス団体ゼロワンからオファーが届いた。94年4月9日阪神戦でデビュー以来、来季19年目を迎えるツバメは国内FA権を保持したまま10年以上が過ぎている状態。年俸1万円からの大幅増をもくろんでいるともみられる。

 一方のトラッキーは来季28年目。今季は命名25周年のメモリアルイヤーを迎えていた。年俸は明らかにされていないが、国内FA権を保持して20年前後が経過しているのは確実。一躍、ベテランマスコットの動向にも注目が集まっていた。

 トラッキー

 つば九郎は他球団、一般企業とも交渉して、人気を上げようとしている。僕もつば九郎の姿勢を目指して、いいライバルとして、阪神一筋で頑張っていきたい。

 27年目の今季は5位に低迷。人一倍責任感の強い虎だけに、熟考期間はV奪回にかける思いを再確認する時間となったようだ。

 チームはオフ、高校3冠投手の藤浪をドラフト1位で獲得。V奪回のためなら、ベテランらしからぬ泥臭い仕事も受け持つ覚悟だ。

 トラッキー

 これまで先発投手と絡む機会は少なかったんですが、キャンプ、オープン戦と、できるだけ絡んでいきたい。雑踏警備やファンの方々の列整理…。チャンスがあれば積極的に、皆さんにしっかり(藤浪を)覚えてもらえるようにお手伝いしたい。

 僕はつば九郎とは違う!

 トラッキーが一世一代の決断を下し、虎の13年に明るい光が差し込んだ。【佐井陽介】

 ◆トラッキー

 1985年(昭60)、甲子園「ラッキー7」のアニメーションに登場していたトラ君とタイガースの虎を合成し誕生。一般公募で87年7月18日に命名。『幸運に向かって!(TO-LUCKY!和製英語)』の意味もある。94年登場のラッキーはガールフレンド。11年登場のキー太はラッキーの弟。特技はバック転、下手なモノマネ。チャームポイントは「KYで虎なのに猪突(ちょとつ)猛進」。約190センチ、?キロ。右投げ、右打ち。