<日本ハム6-1ヤクルト>◇22日◇札幌ドーム

 ベテラン復活と言って、いいだろう。打率1割台と低迷していた日本ハム稲葉篤紀内野手(40)が、今季初のマルチ安打。6回には2年連続5本目となる先制のグランドスラムを右中間席へ突き刺し、7回にも右中間フェンス直撃の適時二塁打と、3打数2安打5打点の大暴れ。「まだパワーがありましたね。良かった」。今季初の本拠地お立ち台で、涙ぐんだ。

 長いトンネルを、ようやく抜けた。6回の先制アーチ。手応え十分の感触に、自然とガッツポーズが飛び出した。開幕早々、打撃不振に苦しみ、2軍調整を志願。「去年のガッツ(巨人小笠原)の姿を思い出したの。記録を達成してガタッて落ちるんじゃないかと。でも、もうひと花、咲かせたいと思って、みんな頑張っている」。40歳。体力面や気力の衰えを感じない日はない。今季から打撃コーチを兼任するが「やっぱり、僕はまだまだ選手」。同じように苦しむ旧友の姿に自身を重ね合わせ、奮い立たせた。

 チームは3連勝で、今日23日のルーキー大谷の初登板を迎える。「チームがいい雰囲気の中で投げさせてあげられる。野手陣も張り切って、明日も勝てるように頑張りたい」。言葉の端々に、にじむ自信。「打者・大谷」があこがれる頼もしい背番号41が、帰ってきた。【中島宙恵】