広島が、新庄・田口麗斗(かずと)投手(3年)をドラフト上位指名候補に挙げていることが29日、分かった。夏の県大会6試合に登板し55回で78三振を奪う左腕に、球団首脳は「即戦力に近い。取れれば幸せ」と高評価。桐光学園・松井裕樹投手(3年)とも比較される逸材に、人気が集中することは必至。地元出身のスター候補のマークを続けていく。

 地元の「ドクターK」を見逃すつもりはない。新庄・田口が、広島の夏を熱くしている。前日28日の夏の県大会決勝は、異様な盛り上がりを見せた。延長15回まで瀬戸内・山岡と互いに得点を許さず、引き分け再試合となった。田口は13安打を浴びながらも、213球を投げ19三振を奪い、存在感を発揮した。

 夏の県大会では、ここまで6試合登板し55回で78奪三振と、三振の数がイニング数を上回る。奪三振率は驚異の12・76だ。24日の準々決勝・盈進戦では、最速147キロをマークし自己最速を2キロ更新した。170センチの左腕は、いまだ発展途上中。地元出身の逸材に、球団首脳が獲得の意思を示した。

 「コントロールも、キレもいい。ボールが見えにくいんだろう。少し背は低いが、左だからね。評価は高いし、即戦力に近い。取れれば幸せ」

 球団は1位は即戦力投手の指名方針を固めているが、それに匹敵する評価を与えている。

 高校生NO・1左腕の桐光学園・松井裕樹投手(3年)が、神奈川県大会で敗れたこともあり、田口の注目度は日に日に増している。国内だけにとどまらず、27日の準決勝・如水館戦には米大リーグのブレーブスのスカウトも視察に訪れた。

 田口はこれまでに「最終的には(プロに)行きたいのもありますけど、今は甲子園に行くことが一番です」と話している。まずは、チームの甲子園初出場を懸けた戦いに全力を尽くす。「僕自身は山岡との勝負だと思っています」。今日30日、多方面の注目を浴びながら2度目の決勝戦に臨む。【鎌田真一郎】

 ◆田口麗斗(たぐち・かずと)1995年(平7)9月14日、広島県生まれ。小学3年から五日市観音少年野球クラブで野球を始め、五日市観音シニアではエースで県大会出場。新庄では1年夏からベンチ入り。最速147キロで、球種はカーブ、スライダー。170センチ、73キロ。左投げ左打ち。

 ◆広島の今秋ドラフト事情

 1位は即戦力投手を指名する方針。桐光学園・松井裕樹(3年)九州共立大・大瀬良大地(4年=長崎日大)セガサミー・浦野博司(24=愛知学院大)JR東日本・吉田一将(23=日体大)慶大・白村明弘(4年=慶応)、亜大・九里亜蓮(4年=岡山理大付)らが候補となる。

 また、野手では仙台育英・上林誠知外野手(3年)、明大・岡大海内野手兼投手(4年=倉敷商)福岡大・梅野隆太郎捕手(4年=福岡工大城東)日本生命・井上晴哉内野手(23=中大)らが、高評価となっている。