<阪神6-2ヤクルト>◇18日◇京セラドーム大阪

 藤浪と言えば…新井サンですよね。阪神新井貴浩内野手(36)が豪快弾でルーキー右腕を強力援護や。1点を先制されたが、2回にバックスクリーンへ反撃のノロシをあげる同点14号ソロ。これで藤浪登板日には3本塁打目。新井貴のバットにつられるように打線は先発野手全員安打。ヤクルト戦の今季勝ち越しを決め、連勝も4に伸ばした。

 試合の主導権を奪うには、アーチに限る。1点を追う2回。先頭の新井貴がガツンと食らわせた。ヤクルト中沢の高めに浮いた甘いストレート。見逃さずに振り抜くと、打球はセンターに鮮やかな放物線を描いた。

 新井貴

 早い回に追いついてよかった。ちょっと詰まったが、押し込めた。

 パワーと技術の14号ソロだ。今季はチーム全体で左腕に苦戦する場面が目立つ。それだけに価値ある1発だった。続く福留の二塁打を起点に勝ち越しにも成功。新井貴のひと振りは逆転劇を誘発した。

 良太だけでなく、藤浪の「アニキ」も襲名した。19歳の右腕が登板した日は、驚異的な力を発揮する。52打数20安打10打点。この日のソロが3本目の本塁打だった。9勝を挙げた藤浪の快進撃を陰で支えている。

 5番での安定した働きは、球団フロントを安心させている。中村GMは現在、渡米し、守護神や野手の新外国人のチェックに励んでいる。日本ではオリックスの李大浩も調査の対象ではあるが、野手では三塁を守れる強打者が優先事項だ。「一塁は新井がいるから…」と球団首脳は言う。主砲の復活はチームに与える影響も大きい。

 新井貴が打って、藤浪が勝った。巨人のマジック消滅で、流れは猛虎に傾きつつある。しかし虎の5番は「マジック」という言葉を聞くや、首を横に振った。

 新井貴

 関係ない。関係ない。全く関係ない。マジックとか数字的なことは関係ない。体の調整をして、また明後日から、1戦1戦、戦うだけだ。

 自力優勝の可能性が復活したとはいえ、巨人はまだ6・5ゲーム差。浮かれないベテランの姿は頼もしい。

 ▼新井貴は藤浪が先発した16試合で52打数20安打で打率3割8分5厘、3本塁打10打点。他投手が先発した試合での打率2割6分4厘をはるかに上回る好成績で、黄金ルーキーを支えている。