西武涌井秀章投手(27)が、今オフにフリーエージェント(FA)権を行使する意思を固めていることが20日、分かった。6月14日に出場選手登録日数が8年に達し、国内球団への移籍が可能となるFA権を取得した。涌井はこの日、FAに対する取材に「シーズンに集中するだけ」と話すだけだった。だが、関係者によれば、野球人として、他球団での評価に関心を持ち、気持ちを固めたという。9年間在籍した西武への愛着も示し、残留交渉のオファーがあれば残留の可能性もあるが、争奪戦は必至とみられる。出身地の千葉を本拠地とするロッテ、横浜高出身が多数在籍するDeNAの他、数球団が獲得に名乗りを上げる可能性がある。ここ2年はリリーフを務めるが、最多勝2度、09年には沢村賞を獲得。北京五輪、2度のWBC出場など、経験も豊富で、投手陣の柱を任せられる。

 昨オフ、2年総額5億円以上の提示を受けたが、単年契約でサイン。一部ではその時点で今オフにFA権を行使する意思があったと言われるが、「また一から西武のエースになっていければと思います」と先発に戻るシーズンに向け、不退転の覚悟を示すとともに、新たなスタートを切る上で自らを追い込み、マウンドで結果を示すという意思表示だった。

 FA権行使へ気持ちが傾いた理由は明らかではないが、向上心が高く、新たな環境で挑戦したい気持ちが高まった可能性がある。チームは3位ソフトバンクに4ゲーム差の4位。涌井自身、逆転でのCS進出しか頭になく、チームの勝利のために投げる覚悟だが、シーズン終了後の動向が注目される。