中日の左の新外国人、アレクシス・ゴメス外野手(35=米独立リーグ)が名刺代わりの驚弾をブッ放した。29日から北谷での合同自主トレに合流。夕刻の恩納村での入団会見前に、来日初のフリー打撃で3連発を含む14発の柵越えを放って度肝を抜いた。あと少しで場外弾の怪力に、森繁和ヘッドコーチ(59)はゴメスの打撃練習中は、右翼後方の陸上競技場を使った練習禁止を検討するなど、警戒警報を発令。実戦で結果を出せば、年俸1000万円の飛ばし屋4番が誕生だ。

 驚弾だった。ゴメスの打球はライナーで柵越えし、下降線を描かないまま右翼後方の防球ネット上部を突き刺した。あと少しで、投手陣がランニングする陸上競技場に飛び出しそうだった。130メートル弾を見届けた森ヘッドコーチが半笑いで声を上げた。「競技場が危ない。空けとかなあかんな」。今後、ゴメスの打撃練習中は競技場での練習を禁止する方針。身内が前代未聞の警戒警報だ。

 ゴメス

 自分もびっくりするぐらい飛んだ。ドミニカで15日までウインターリーグに出ていたから体調はいいんだ。でもまだ50~60%。こんなもんじゃない。

 この日からルナらと北谷の合同自主トレに合流。来日初のフリー打撃で41スイングし、3連発を含む14本もの特大アーチを描いた。この男こそ、森ヘッドがブランコと並んで8年前から追い求めてきた恋人。「(年俸)1000万円でこれだけ打てりゃ十分だろ。当たれば反対(中堅から左)にも行っちゃうぞ」。ついに“左のブランコ”を獲得したコワモテ参謀も笑いが止まらない。

 ゴメス

 メジャー時代、セーフコフィールドで練習中に飛ばし合いをして、ライトの2階席を超した僕だけが仲間から2回、1000ドル(10万5000円)もらったことはあるよ。

 当時マリナーズにいたイチローも破壊力にびっくりか。メジャーでは出番に恵まれず通算1本塁打だが、昨季所属した米独立リーグでは打率3割5厘、11本塁打、71打点と発展途上。守備の本職は右翼だが、昨季26盗塁の快足を生かし中堅もOKと言い切る。さらに森ヘッドの意向を受け、一塁も兼任する意気込みだ。

 ゴメス

 去年独立リーグは全試合4番だったよ。ケガさえしなければ必ず結果は出せる。110%の力を出して優勝に貢献したい。

 外野ならVS和田、大島、平田。一塁ならVSルナ、森野、小笠原。身内同士の激しい肉弾戦に突入する気配も漂ってきた。本人は本物助っ人を証明すべく、キャンプ実戦で結果を出すと気合十分。日本一安い4番誕生へ、飛ばして飛ばして飛ばしまくる。【松井清員】

 ◆アレクシス・ゴメス

 1978年8月8日、ドミニカ共和国生まれ。リセオ・ヘネラル・ホセ・カブレラ高から97年にロイヤルズと契約。02年にロイヤルズでメジャーデビューし、05、06年はタイガースでプレー。昨季は米独立リーグに所属した。趣味は映画観賞、ドミノ。191センチ、100キロ。左投げ左打ち。