<日本ハム8-4オリックス>◇30日◇札幌ドーム

 日本ハム大谷翔平投手(19)が、オリックス戦でプロ入り初の3安打「猛打賞」を記録した。1回に犠飛で打点を挙げると、2、5回には右越え二塁打、左前打でチャンスメーク。そして7回無死一塁の場面で、左前へ3本目の安打を放ち、勝利に貢献した。2勝1敗と勝ち越した開幕カードは3戦フル出場で14打数5安打、打率3割5分7厘と奮闘。投手としては、4月3日ソフトバンク戦で今季初登板のマウンドに上がる予定だ。

 痛烈な打球で「壁」に穴を開けた。7回無死一塁、大谷がオリックス海田の直球を、左前へライナーで運んだ。プロ2年目、出場80試合目で初めての3安打だった。「昨日(29日)は(安打が)なかった。そういう日もあれば、今日みたいな日もある。波を少なくできればいいなと思います」。特別な感情はない。いつもと同じように、もっと上を見た。

 昨季は2安打止まりが13試合。今年、開幕早々に猛打賞を記録したのは、偶然ではない。2ストライクと追い込まれながら、2回はフォーク、5回はシンカーをヒットにした。配球を、読んだ。「追い込まれたら落ちる系のボールが多い。データも出てる」。打率を落とした昨季終盤の苦悩を、生かした。

 一方で、7回はバッテリーの裏をかいた直球勝負にも対応した。昨年は1年間、「直球待ちで変化球にも対応」という姿勢を貫いた。変化球に簡単にバットが空を切ることもあった。だが「そのおかげで、今は真っすぐを狙っていなくてもしっかり振れている」。狙い球を絞る姿勢に変えても、直球には自然と反応できるという。壁には開けたが、自身に穴はなくなった。栗山監督も「内容が良かった」と成長を感じ取った。

 開幕ローテ入りし、投手調整が中心。その中でも、開幕3戦にフル出場して打率3割5分7厘、2打点と数字を残した。昨年秋、大谷が栗山監督に、反抗したことがある。9月23日楽天戦後のことだ。0封負けを喫した試合。大谷は9回、禁を破って一塁にヘッドスライディングした。注意されたが、譲れなかった。「(野手で)出ているときは野手なんです」。投手もやっているから…、「二刀流」だから…、という「特別」を嫌った。キャンプでの打撃練習が少なかろうが、オープン戦の打席数が少なかろうが、言い訳は絶対にしない。この日も「3番打者」として、グラウンドに立っていた。

 試合前にはブルペンで約60球を投げた。次カードは、4月3日ソフトバンク戦での先発登板も控えている。「疲れは今はないです。明日(31日)からしっかり調整していきたいです」。打者大谷がつくった流れを、投手として引き継ぐ。【本間翼】