<日本ハム1-5ロッテ>◇27日◇札幌ドーム

 ベテランの研ぎ澄まされた感覚が、勝利をたぐり寄せた。ロッテ井口資仁内野手(39)が1回、日本ハム大谷の抜けたフォークを確実に仕留め、先制3ラン。インパクトの瞬間を感じ取る繊細な男の豪快な一撃だった。この一打で主導権を握ったチームは今季初の4連勝で勝率も5割復帰。日本ハムには開幕6連勝で3位に浮上した。

 フルカウントからの6球目だった。一、二塁の走者はともにスタートを切った。空振りが絶対にできない状況で、井口はコンパクトに振ることだけを考えていた。投じられたのは真ん中高めに抜けたフォーク。「失投じゃないですか。甘い球を仕留める。そこだけでした」。ボールとバットの芯がぶつかり合った。完璧な一打だった。

 フォークは頭にあった。「去年までフォーク系はそんなに投げていなかった。ただ、大谷の前回登板の映像を見たら、カウント球でも使っていた。イメージが違うというのはミーティングで話していました」。事前に今季の大谷を把握していたから、しっかり対応できた。

 繊細な感覚が宿っている。今年の開幕シリーズを戦っている時のことだ。統一球の反発係数が、規定値を超えていたことは、今では周知だが、別の感覚でそれを感じていた。「表面の革がまたしっとりした感じがする。最初に統一球が導入された時は、インパクトの瞬間にバットとボールがもっと滑っていた。年々、滑らなくなっている」。一瞬のことを正確に感じ取れるから、この日のような場面でのミスショットが減る。

 札幌入りした24日には、全体練習への参加が免除されていたが、志願して参加。打ち込みを行った。不調気味だった打撃を修正して、この3連戦に臨んでいた。頼りになるベテランの一打が、チームをさらなる上昇気流に乗せそうだ。【竹内智信】