<DeNA11-6ロッテ>◇18日◇横浜

 勝った気がしなかった。ハーラートップタイの8勝目、3度目の完投勝利にも、DeNA井納翔一投手(28)に笑顔はなかった。勝利のハイタッチも下を向いたまま、どこか気まずい雰囲気。初回から球が浮き、今季ワーストタイの6失点を喫し、「5月までと真っすぐが全く違った。最後まで修正できなかった」と唇をかんだ。

 指揮官からは雷を落とされた。4点リードをもらった3回、先頭吉田に中前打を許し、続く伊志嶺には四球。そこから2連打で簡単に3失点。さらにマウンドで自分への不満が態度に出た。ベンチに戻ると、中畑監督に呼ばれ「ばか野郎!

 代えるぞ!」と怒鳴られた。5、8回にも雷を落とされ、井納は「雰囲気を悪くしてしまった」と猛省した。

 中畑監督の怒りは試合後も収まらない。5回で交代してもおかしくない内容で、エースらしからぬ姿に、「みんな、この野郎と思っているだろう。60回ぐらい殴りたい。大反省してもらいたい。中途半端な投球では、エースになれない。全く褒めるところがない」と手厳しかった。

 それでも8回に続投を志願し、9回を投げきったことに中畑監督は「自分から言ってきたことには期待したい」。最多失点も、16安打11得点と打線の援護に助けられ、何とか巨人菅野に並んだ。井納は「変わろうとしない今のままでは、終わってしまう。心身ともに見つめ直していきたい」と、交流戦明けの27日広島戦で、新境地の投球を誓った。【細江純平】