<西武6-5日本ハム>◇2日◇西武ドーム

 日本ハムが大どんでん返しを食らった。3点リードの9回、約2カ月ぶり登板の3番手武田久投手(35)が誤算。無死から3連打で満塁のピンチを招き、内野ゴロの間に1点を失って降板した。直後の1死二、三塁で投入された代役守護神マイケル・クロッタ投手(29)も流れを断ち切れず。伏兵の西武斉藤にプロ本塁打となる逆転サヨナラ3ランを浴びた。今季6度目のサヨナラ負け。重苦しい黒星で、再び借金1になった。

 言葉が出てこなかった。想定外の結末に、うなるしかなかった。栗山英樹監督(53)は最終回の継投を問われても「うん、うん…」。視線は宙をさまよい続けた。ミス続出の試合展開も勝利は目前だった。「ミスもあったけど、ああいう形で最後まで持っていけたので、勝たなければいけないゲームだった」。痛恨の思いが、胸を締め付けた。

 誤算の連続だった。守備では3回、中堅に起用した杉谷が適時失策で先制点を献上。攻撃も思うように進まなかった。判断ミスによる走塁死に送りバントの失敗。それでも4回は石川慎、7回は西川が直前のバントミスを帳消しにする適時打を放った。9回には2点を追加も、最後の誤算は武田久だった。

 前日1日に1軍復帰した前守護神を投入も、いきなり3連打を食らって無死満塁。内野ゴロで1点を返され、歯車は完全に狂った。前夜に1回1/3を投げ、休ませる予定だったクロッタに交代も流れは止められなかった。伏兵の西武斉藤にプロ初本塁打となるサヨナラ3ランを被弾。きっかけをつくった武田久は「申し訳ないです」とひと言だけ残し、球場を後にした。

 失敗を取り返しながら、大きな1勝を手にするはずだったが、最後は今季6度目のサヨナラ負けで再び借金1。「前を向いてやるしかないね」。栗山監督は、深くため息をついた。後ろのポケットに両手を突っ込み、考え込みながら西武ドーム名物の長い階段を上っていった。【木下大輔】