<DeNA3-0巨人>◇9日◇沖縄セルラー那覇

 DeNA中畑清監督(60)が監督就任3年目で初めて巨人を完封に仕留めた。1回に後藤の3ランで奪ったリードを4投手の無失点リレーで守り切り、巨人戦通算56試合目でついに0封した。台風8号の影響で前日8日は試合が中止となり、那覇市内の宿舎から1歩も外に出られない状況だった。そんな調整不足を感じさせない戦いぶりで、沖縄のファンに会心の白星を届けた。

 宿敵巨人を倒し、すがすがしい表情だった。試合後のインタビュースペースに現れた中畑監督は興奮していた。「いやー、ホッとしたよ。巨人に完封勝利は初めてじゃないの?

 3年目でやっとできました。おめでとうございます!」。就任3年目、巨人戦通算56試合目で達成した初完封に、思わず自分を褒めた。

 最後は冷や冷やだったが抑えの三上を信じていた。9回。巨人の高橋由、セペダの代打攻撃。それでも何とか食らいついた。2死一、二塁。セペダの打球は遊撃手と左翼手の間に落ちたように見えたが、遊撃の山崎が後方の難しい打球をダイビングキャッチ。「諦めずに捕ってくれた」。無失点リレーを完成させ、ベンチで両手を上げて喜んだ。就任以来、最も対抗心を燃やす相手を最高の形で倒した。

 考え抜いた末の継投が決まった。沖縄シリーズ出発日の7日。羽田空港で「ソトは調子が良い。先発でも良いかもな」と話していた。だが、8日の試合が中止となり、宿舎で1日缶詰めだった時間を使いシミュレーションを繰り返した。頭をよぎったのは4月2日の巨人戦。8回から勝ちパターンを使わずに5点差をひっくり返されて敗れた。「あの敗戦は今でも引きずっている。巨人には5点差あっても勝ちパターンでいかないとダメ」と肝に銘じた。

 だから、この日は調子の良いソトを中継ぎで使った。「試合前にソトを7回で使うと決めていた」と、6回無失点と好投してきた久保に代え、ソトをマウンドに送った。1安打を許すも3人で抑え、必勝リレーの8回万谷、9回三上へとつないだ。

 沖縄シリーズは1試合だけとなったが、大きな1勝を手にした。中畑監督は「うちの野球らしくないね。沖縄のファンの期待に応えられた試合だった」と喜びをかみしめた。【細江純平】