<日本ハム3-4オリックス>◇5日◇帯広

 相性抜群の帯広で100号メモリアル弾を放った。日本ハム中田翔内野手(25)が、オリックス戦で3回に3年連続20号ソロ、続く6回に21号ソロで通算100本塁打を達成。球団の高卒選手では、前身の東映時代の張本勲氏に次ぐ578試合目での到達となった。チームは3連敗を喫したが、帯広ではプロ3年目から5年連続アーチとなった。

 勝利を彩る準備は出来ていた。試合終了後。中田はスッと腰を上げ、その場でゆっくりとグラウンドに一礼した。今季初の1試合2本塁打。1本1本がメモリアル弾だったが、結果は無情だった。「勝ててないんでね。正直、なんの意味もない。負けてしまっているんで悔しい思いでいっぱい」。両チーム計5発が飛び交う空中戦で1人で対抗した。奮闘しても責任を痛感していた。

 思いが詰まっていた。3回。左翼席へ3年連続となる20号。リードを2点に広げた。勝ち越された直後の6回。左中間への通算100本塁打目で一時、振り出しに戻した。出場578試合目は張本氏に次ぐ球団史上2位のスピードで到達。負けはしたが、価値ある軌跡は刻んだ。

 中田

 100本以上、打っている先輩は、たくさんいる。特別、感じるものはない。これからも、もっともっと上を見てやっていきたい。

 発奮材料が、背中を押した。先発浦野は生え抜きでは唯一の同学年。07年プロ入団した高卒の同期は、気づけば自分だけになった。待望の仲間をいつも気にかけ、気軽な世間話を持ちかけ会話を楽しんだ。7月25日の楽天戦。中田自身初の満塁弾で、浦野に5試合ぶりの白星をプレゼントしていた。この日も「一生懸命投げていた。1点でも多く取ってあげたいと思った」と、おとこ気が強烈な弾道の推進力だった。

 両膝のケガで苦しみながら、ここ10試合で6発と主砲の仕事を全うする。キャプテン大引は「辛抱強く良くやってくれている」。開幕前に三塁転向に挑んでいたときに相談を受けることが多かった飯山は「意外と自分の記録は気にしていないと思う。チームのために打ちたいとは思っているんじゃないかな」と言う。主砲の自覚が芽生えている。

 記念の2発を含む7月2日西武戦以来の3安打猛打賞。1年に1度の帯広開催で5年連続の放物線を懸けたが、最高のフィナーレへと導けなかった。「何としてもチームが勝っている姿を見せたかった」。チームは3連敗。いつか白星に直結すると信じ、アーチを描き続けていく。【田中彩友美】

 ▼通算100本塁打=中田(日本ハム)

 5日のオリックス16回戦(帯広)の6回、岸田から今季21号を放ち達成。プロ野球272人目。初本塁打は10年7月20日のロッテ14回戦(札幌ドーム)で大嶺から。25歳3カ月での達成は19位タイの年少記録で、日本ハムでは63年張本の23歳0カ月、69年大杉の24歳6カ月に次ぎ3位。出場578試合目は、高卒選手としては14位のスピードになる。