阪神が今オフの補強方針を転換することが4日、分かった。調査を行っていたロッテ成瀬善久投手(29)の獲得が難しい状況にあることが判明。成瀬から撤退せざるを得ない場合に備えて元守護神・藤川球児投手(34=カブスFA)の調査に乗り出す。野手は中島裕之内野手(32=アスレチックスFA)を最優先に、鳥谷流出に備えて川崎宗則内野手(33=ブルージェイズFA)を新たに調査する方針だ。

 来季、10年ぶりのリーグ優勝を目指す阪神の補強戦略がターニングポイントを迎えた。南球団社長、高野球団本部長、中村GMらが緊急編成会議を開いた。議題は補強方針の練り直しだ。ロッテからFA宣言する成瀬の獲得が難しい状況にあることが判明した。あくまで正式に権利行使するまで状況を見守るが、球団幹部によれば「2人の状況を見守っていきたい」と、成瀬から撤退せざるを得なくなった場合に備え、新たに藤川と川崎の獲得調査を開始するという。

 藤川はいわずと知れた元守護神。12年オフに海外FAでメジャー移籍し、1年目の13年に右肘を手術、今年8月に復帰した。150キロの速球が戻りつつある中、10月末にカブスを放出となり、阪神は日本復帰も含めて動向を注視していた。投手補強が今オフの最優先課題だけに、かつての絶対守護神の復帰は大歓迎だ。

 球団内には先発投手として期待する声もあるという。中日山井、オリックス金子を断念し、成瀬も撤退の可能性が高くなった。先発補強候補が次々と補強リストから消滅していく中で「先発球児」がタテジマ復帰となればビッグサプライズだ。

 また川崎は11年にソフトバンクから海外FAで大リーグに移籍した。ブルージェイズではハッスルプレーで人気者となったが、1日にFA選手となった後、日本復帰の可能性を示唆。阪神は今オフ、アスレチックスからFAとなった中島の獲得に全力を注ぐが、万が一の場合に備え、川崎の調査も開始する。大黒柱の鳥谷がFA宣言を決断し、メジャー挑戦が濃厚な状況。最後の最後まで慰留する方針だが、鳥谷不在となった場合の備えとしても、川崎の調査には意味がある。

 球団は、成瀬獲得に背番号「18」の他に3年総額6億円規模の好条件を準備していた。もし撤退となれば、その資金が浮くことになる。中島を筆頭に藤川らの日本人メジャーリーガーに投入すれば…。4日に交渉解禁となった米大リーグFA市場に、阪神が熱い視線を注いでいる。