<日米野球壮行試合:日本代表0-1ソフトバンク・日本ハム連合>◇10日◇ヤフオクドーム

 藤浪侍、ヒヤリ。「2014

 SUZUKI

 日米野球」(12日開幕)に出場する侍ジャパンが、ソフトバンク・日本ハム連合チームとの壮行試合に完敗した。先発藤浪晋太郎投手(20=阪神)は2回無失点、3奪三振の快投も右手親指に打球が直撃。試合途中に病院へ向かい、検査を受けた。骨に異常なしと診断されたが、先発予定だった16日の日米野球第4戦を回避する可能性も出てきた。

 全国の野球ファンがその瞬間、固唾(かたず)をのんだ。予定の2イニングも最終打者。藤浪の快投劇はまさかの形で幕を閉じた。7番日本ハム谷口のライナーが藤浪の右手親指に直撃(記録は二ゴロ)。痛みを和らげるように右手を振りながらベンチに戻った。「全然、大丈夫です。しっかり治療して準備します」。そう口調を強めた藤浪は右手にアイシングしながら試合途中に病院へ向かった。

 日本代表は大阪桐蔭3年時のU18世界選手権(韓国)以来。プロ初の侍ジャパンではオリックス金子が背番号19をつけるため、背番号17を選んだ。「偶数は似合わないと思って、奇数でこの背番号になりました。縦長の数字が似合うかなと思って」。この日デビューした17番藤浪が、侍ジャパンの中心にいた。

 前日9日に先発を言い渡された急な展開にもかかわらず、2回を1安打無失点。最速153キロを記録し、3三振を奪った。滑りやすいメジャー球の対策として、広島前田からの「こねた方がいい」という助言を実践して好投した。

 「いつもより神経を使ったのは確か。サラサラしているので抜けやすいし、滑りやすい」と振り返ったが、あくまで想定内の範囲だろう。日米大会仕様で粘土質になっているマウンドも「全然、対応できる感じでした」。17年WBCのエース候補として上々の滑り出しを見せただけに、アクシデントが気がかりだ。

 登板後、福岡市内の病院で精密検査を受け、打撲と診断された。骨に異常はなく、宿舎に戻った藤浪は「痛みもないし、大丈夫だと思います」と力を込めた。ただ、利き手の負傷だけに心配は募る。当初の予定では、次回は16日の日米野球第4戦に先発予定だった。「自分の基本はストレート。しっかり振ってくると思うので負けないように。力勝負とは言わないけど、思い切って勝負したい」。気合十分に真っ向勝負を宣言したが…。

 小久保監督は「ピッチングは見事だった。非常に強い球を投げていたという印象」と絶賛した上で「(負傷が)ちょっと心配ですね。予定通り先発するかどうかは、今後の様子を見て考えます」と先発回避の可能性も示唆した。今後は患部の経過を慎重に見極めながら、起用について判断される見込み。今は軽傷であることを祈るしかない。【佐井陽介】<藤浪の主なアクシデント>

 ◆11年11月

 大阪桐蔭2年時の秋季近畿大会・天理戦。2回の打球処理で捕手と接触、スパイクで右手薬指と小指に裂傷を負いながら7回まで力投。

 ◆13年5月

 阪神1年目でローテ入り。登板予定だった12日ヤクルト戦前日、背中から腰にかけての張りを訴え、出場選手登録を抹消された。

 ◆同8月

 広島戦(甲子園)の初回2死、丸の打球を足に当てた。続投し6回1失点で10勝目。

 ◆14年9月

 中日戦(甲子園)の6回、打球を左足付け根に当て、ベンチで治療。その後、2死満塁の危機を断ち7回3失点で勝利。2年連続2桁勝利を達成した。