<東京6大学野球:明大7-0慶大>◇第4週最終日◇3日◇神宮

 ドラフト1位候補の明大・野村祐輔投手(4年=広陵)が春の覇者・慶大を完封し、勝ち点3として首位を守った。被安打5の9奪三振。今季初の無四球完封で4勝目、通算28勝として先輩の川上憲伸(ブレーブス傘下の2Aミシシッピ)に並んだ。

 マウンドを降りた野村は伊藤を見つけると握手を求めた。試合終了のあいさつを終えた直後だ。「ありがとう」。伊藤も「ありがとう」と笑顔で返した。大学最後の2人の対決は、内野安打1本の2三振。野村は「甘い球は逃さない。それが優れている打者。ヒットならいい、と思って投げました」と相手をたたえた。

 1回、いきなり伊藤と対決。2死二塁。フルカウントになると、プレートを外して一呼吸おいた。ここで134キロのチェンジアップを投じる。バットは動かない。三振だった。「まっすぐと全く同じ腕の振りができる。あれじゃあ打てない」。1位を表明する広島苑田スカウト部長が絶賛した。野村は課題の立ち上がりを切り抜けると、2度跳びはねてマウンドを降りた。

 前日は同部屋の岡大海投手(2年=倉敷商)が大活躍し、この日の出番をもらった。「4年生が負けてはいけない」。攻めの投球で、わずか108球の完封劇だった。これで慶大に5勝4敗。5校にすべて勝ち越しての28勝(12敗)だ。川上先輩に並び、2カードを残し30勝も見えてきた。「勝ちにこだわって投げるだけです」。

 そんな野村を試合後の慶大・江藤省三監督(69)がこう評した。「(投球が)うまいよね。佑ちゃん(早大・斎藤佑樹投手=現日本ハム)よりうまいんじゃないの」。【米谷輝昭】