日本ハム栗山英樹監督(51)が、入団決定的なドラフト1位指名した花巻東・大谷翔平投手(18)に対しダメ押し再出馬することになった。11月30日、球団から3日に岩手・奥州市内で交渉することが発表された。前回11月26日が最後の交渉予定だったが、大谷側の希望もあって決まった。すでに大谷は日本ハム入団を決意しているものの、ドラフト前にメジャー希望を表明したことが重圧になっているという。今回の交渉では、栗山監督が「エース兼4番」の育成計画を具体的に説明し、最後に残った葛藤を断ち切る。

 熱血指揮官の栗山監督が、また大谷へ会いに行く。自ら出馬した前回が最後の交渉予定だったが、大谷側から再交渉したいと球団側へ申し入れがあり、3日に実現することが決まった。すでに前回交渉で日本ハム入団の決意を固めた大谷だが、正式表明には踏み切れていない。大谷には、もう1つのハードルが残っているためだった。

 周囲の関係者によれば、大谷はドラフト前にメジャー希望を表明したことが、今では極度の重圧になっているという。翻意することによる影響は大きいと想定され、実際に間接的な中傷もある。この点にナーバスになっており、最後の1歩へ踏み出せない。栗山監督もこうした情報は入手しており、周囲に対し「そんな状況で困っているなら何回でも行く」と宣言している。2度目の出馬は、最後に残った葛藤を断ち切ることが目的となる。

 今回の手土産は、入団後の育成計画の青写真を鮮明に伝えることになりそうだ。これまでの交渉過程で、日本ハムが目玉条件として提示してきたのが将来的に「エース兼4番」で育て、迎え入れる態勢の整備だった。才能を高く買う投手と打者として両面の資質の一方を殺すことなく、伸ばしていくという球団独自の指針を示していた。その陣頭指揮を執るのが、栗山監督。既に構想を練っており、これまで以上に具体的に大谷へ提案して、ケジメをつけてもらうつもりでいる。

 栗山監督を含め、球団側は来季から1軍クラスで戦力になれる逸材との評価で一致している。栗山監督は、1年目で先発投手として見込める登板試合数、また育成に適した登板間隔なども既に描いているよう。また打者としての起用は、指名打者か、高校時代に経験がある外野手かなど、ある程度は固まっている。メジャーでトップ級の選手を目指す大谷に、より明確な道筋を見せる狙いだ。

 大谷が堂々と日本ハム入りを表明できる日は着々と近付いている。<大谷ハム交渉経緯>

 ◆10月25日

 ドラフトで日本ハムが単独1位指名。大谷はその時点での入団の可能性を「ゼロ」と発言。

 ◆26日

 山田GMらが花巻東高を訪問して指名あいさつするも大谷は同席せず。

 ◆11月2日

 山田GMらが2度目の指名あいさつで自宅を訪問。初めて本人と面会、栗山監督のメッセージ入りサインボールを手渡す。大谷は「高校生からは初なので、パイオニアとしてやっていきたい」。

 ◆10日

 花巻市内のホテルで入団交渉。本人は同席せず、山田GMらが両親にメジャー挑戦のリスクなどを説明。

 ◆17日

 奥州市内ホテルでの交渉に本人と両親が出席。“エース兼任4番”の二刀流プランに大谷は「少しニコッとした」(山田GM)。父徹さんは「全くNOという感じでもない」。

 ◆26日

 栗山監督が直接交渉に乗り出す。将来的に米球界で成功するためのプランを示され、大谷は「そういう(日本ハム入りする)道もあると伝えさせていただきました」。日本ハム入団が決定的となった。