大相撲人気の勢いも、鬼門にはね返された。空席が目立った2日目。満員6986人に対し、動員4200人。1年前の12日目から続いてきた満員御礼は、80日間で止まった。九州場所では96年以来19年ぶりの「15日間大入り」の夢もついえた。白鵬は「う~ん、何でだろうね」。北の湖理事長は「前半が厳しいことは耳に入っていた。残念だけど、これを1つの課題として頑張りたい」と話した。

 九州場所はまさに鬼門となっている。00年からは3年連続で、大入りが1日も出なかったほど。なぜ観客が少ないのか。人口ではほかの地方場所の大阪、愛知に及ばずとも福岡も約509万人いる。だが、会場は最寄り駅から最も遠い。相撲の敷居がまだ、高く見えることもあるようだ。特に地元はソフトバンクが2年連続日本一と、野球一色。そのチケットは最安500円で、関係者も「今年は野球に持って行かれたのかな」と嘆いた。

 だが、悲観するなかれ。長く1ケタ前半だった大入りは昨年、7日間に増えた。今年もチケット売り上げは昨年比1割増。さらに伸びる可能性もある。担当の山分親方(元前頭武雄山)は「今年はまず2ケタ。その先に15日間がある。九州で終わり、九州で始まる」と誓った。ソフトバンクへの挑戦者はここにもいる。【桑原亮】