9日目は首都圏に積雪があり、下位力士の取組に影響があった。

 序ノ口の東輝(玉ノ井)は東京・足立区の部屋を午前6時半に出たが交通機関が乱れ、通常45分のところを約3時間かけて国技館に到着。序二段翔希(宮城野)との取組は、予定の18番後に行われた。準備運動はほとんどできないまま寄り切りで勝ったが「相手に申し訳ない」と恐縮しきり。負けた翔希は「気持ちをつなぐのが大変だった」とぼやくしかなかった。

 東輝と同部屋の序二段東政馬も遅刻し、予定の3番後に取組がずれこんだ。気持ちがはやり、東から入場するはずが西に行ってしまい、走って東に向かう場面も。こちらも準備運動はそこそこに、谷口を二丁投げで豪快に決めた。「(不戦敗の)覚悟はしてた。勝っても複雑、相手にも審判部にも申し訳ない」と素直には喜べなかった。

 数年に1度は初場所中に大雪があり、事前に連絡があれば、取組を遅らせるという措置が取られる。今回の2番はともに、遅刻した力士が勝つという珍事だった。審判を務めた式秀親方(元幕内北桜)は「雪だけに白星」とオチをつぶやいていた。【佐々木一郎】