今場所から新しく付け人になった炎鵬も、白鵬の自己最多更新となる38度目の優勝を喜んだ。金沢学院大出身で、春場所前に白鵬の3人目の内弟子として入門し、今場所で序ノ口デビューした。大学時代は世界選手権の軽量級で、2連覇するなど実力は折り紙付き。場所前には二人三脚で、稽古を積んできた。

 春巡業を終え、本格的に稽古が始まった時だった。白鵬から指名を受け、モンゴル相撲を取ることになった。本場所が始まるまで毎日。朝稽古を終えて約1時間、2人っきりで汗を流した。10日目に高安を下した時に、白鵬はその効果を実感。支度部屋で髪を結っている間、炎鵬が目の前に立ってうちわであおいでいると「炎鵬とモンゴル相撲をやった成果が出た」と話した。炎鵬は照れ笑いしてうなずいた。

 この日、帰り際に2人でダブルピースを作って記念写真を撮った。場所前に白鵬から「2人で優勝するぞ」と言われ、炎鵬は13日目に序ノ口で全勝優勝。その翌日に白鵬も“全勝”で優勝した。実はあと2人の内弟子の、山口と石浦のしこ名が番付に載った12年春場所、13年春場所も優勝している。「本当にすごい」。背中で語る横綱に目を輝かせた。【佐々木隆史】