“中京の怪物”が日本最速で世界奪取を狙う。ボクシングのWBO世界ミニマム級2位の田中恒成(19=畑中)が23日、在学中の愛知・中京大で同級1位フリアン・イエドラス(26=メキシコ)と5月30日に世界王座決定戦(愛知・パークアリーナ小牧)を行うと発表した。次戦が5戦目の田中は、勝てば日本最速での世界王座獲得となる。

 「いよいよ世界の舞台に立てる。うれしい気持ち」。初の世界戦で挑むのは、相手だけじゃない。6戦目で世界王者となった井上尚弥が持つスピード記録にもチャレンジする。

 田中家と井上家には、浅からぬ因縁がある。国体4連覇中の兄亮明さんは、同学年の井上とアマ時代に4度戦って全敗。一方、田中は井上の弟拓真と同学年で、高校時代は3勝2敗と勝ち越している。両家とも父がトレーナーを務める点でも一致する。

 田中は「井上さんはすごい。あこがれの選手」と尊敬しつつ「俺は俺でやりたいことがある」と力を込める。日本のエース級となった井上の記録を更新すれば、ブレークすること間違いない。「倒せるなら右ストレート。必ず世界チャンピオンになります」。武器のスピードで圧倒し、スターに駆け上がる。【木村有三】

 ◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年(平7)6月15日、岐阜・多治見市生まれ。市之倉小6年時から本格的にボクシングを始める。中京高ではライトフライ級で国体2連覇など高校4冠。13年11月プロデビュー。14年10月の4戦目で東洋太平洋ミニマム級王座獲得。現在中京大経済学部在学中。家族は両親と兄、妹。162センチの右ボクサーファイター。