冬男、バージョンアップ! WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23=大橋)が27日、前WBA同級王者河野公平(36=ワタナベ)を迎え撃つ4度目の防衛戦(30日、有明コロシアム)へ向け、都内での予備検診に臨んだ。表情も明るく冗舌で、腰痛に苦しんだ9月のV3戦の検診での寡黙さとは対照的。「季節が合ってると思うんです。毎年年末は調整がうまくいく」とさわやかにうなずいた。

 確かに冬には強い。4試合すべてKO勝ち。しかも総所要ラウンドはわずか10回。1試合平均2・5回で終わらせている。対して夏は3試合すべて10回以上、1試合の判定勝ちを含む。故障なども重なり、快勝には遠い。暑さで汗をかき、「その分疲労がたまりやすい」と感じている。

 プロ3年目の自信の冬場を迎え、今回は一層の改良を加えた。9月の試合後に体重の増量を5キロに抑えた。従来より4キロ少ない状態を保ち、減量苦を軽くする作戦。食事でカロリー制限しながら調整してきた結果、「めちゃくちゃ調子いい。動きも最後までキレキレできた。おいしいものを食べるのは正月ですね」。

 新調整法の成功に、自然と会話も弾む。過去に人気デュオ「ワム!」の「フリーダム」を入場曲で使っていた縁から、英歌手ジョージ・マイケル氏の死去を受け、「復活させた方がいいかな?」。報道陣に逆質問する余裕に、「冬の井上」再来の予感が満ちた。【阿部健吾】