同級1位藤本京太郎(30=角海老宝石)が2度目の挑戦でアジア人初の王座に就いた。同級2位ウィリー・ナッシオ(30=オーストラリア)に対し、2回に右カウンターでダウン。軽快に足を使って的確にパンチを当て、3-0の判定勝ちを引き出した。ヘビー級王者となったK-1から転向して約6年、17戦目。4年前に唯一の黒星を喫したタイトル戦で雪辱し、快挙を遂げた。

 12回終了のゴングとともに、藤本はキャンバスに両膝をついた。「しんどいわ~」。心の底から声が出た。約16キロ重いオーストラリア国内王者の豪打を、足を使ってさばききったピンク髪の三十路(みそじ)男は、「30歳で取れて幸せ。僕はホンマに臆病。そこが持ち味」と胸を張った。

 2回には右カウンターでダウンを奪ったが、「1回ずつと決めていた」と作戦は変えず。時には駆け足で大振りのパンチをかわし、的確にパンチを上下に打ち分けるスタイルは、冷静な自己分析ゆえ。小学校では同級生より2回りも大きくても、リレーの選手。マンション2階から転落して腕を骨折しても、「痛いな~」と泣かずに軽やかな足取りでその場を去ったこともあった。軽快な足さばきは、最大の長所だった。

 年末に同門で後輩の小国が世界王者になったことも、「すごい力になった」。ボクシング転向後の1つの目標だった国際的なベルトを獲得し、今後はクルーザー級転向も視野に入れる。

 ◆藤本京太郎(ふじもと・きょうたろう)1986年(昭61)6月23日、大阪市生まれ。キックボクサーとなり、07年にK-1トライアウト合格。09年に第2代ヘビー級トーナメントを制し、日本初の重量級王者に。アーツにKO勝ちで防衛1回。11年にプロボクサーに。16勝(8KO)1敗。183センチの右ボクサー。