「歩」いて2つ目の「金」へ-。20日のボクシングWBA世界ミドル級王座決定戦(20日、東京・有明コロシアム)で世界初挑戦となるロンドン五輪金メダリストで同級2位村田諒太(31=帝拳)は9日、都内のジムで練習を公開した。元世界王者で同級1位アッサン・エンダム(33=フランス)の素早い動きを捉えるため、取り組んできたのは「歩くこと」。歩くようにすっと前に詰める動きで、五輪に続く金=世界王者をつかむ。

 将棋の比喩がピタリとはまる。着実に1マスずつ前進する「歩」の駒のように、スパーリングの村田の足取りはスムーズだった。スピード豊かな米国人のパートナーを追い詰める。強打を打ち込める距離に入るための足運び。「すっと前に出られた」。そう表現する動きこそが、エンダム対策で習熟してきた技術。「歩」は前に進めば「金」になる。プロの世界でも1つの頂点を極めるために歩く。

 ガードを固めて前進し、パンチを打ち込む。五輪で金メダルを取ったスタイルに回帰し、昨年は4連勝4KO。自信を深めた戦い方を今回も貫徹するが、エンダムはこれまでの相手で最も速い。中、遠距離から威力ある拳を振ってくるため、どう近距離に詰めてつかまえるかが鍵になる。そこで徹底してきたのが歩く意識。どしっと構えるのではなく、歩くような速度でちゅうちょなく前に出られれば勝機が見えてくる。