ボクシング世界タイトルでアジア人初の4階級制覇を果たしたフィリピンの国民的英雄マニー・パッキャオ選手(30)が、政界入りに「挑戦」する構えだ。

 今月2日に米国で行われた試合に勝利して凱旋(がいせん)帰国した同選手は、自らが党首の新党「国民のチャンピオン運動」を設立し、来年の下院選への出馬も表明。政界では、アロヨ大統領が親密ぶりをアピール、ゴンザレス法相は特別補佐官に任命するなど、絶大な人気にあやかろうとする動きも出ている。

 パッキャオ選手はフィリピン南部の貧しい農家に生まれ、1試合で推定10億円以上を稼ぐスターにのし上がった。2日の試合後には「現役最強」と各国メディアが称賛。アロヨ大統領は今月11日を「パッキャオ選手を祝福する国民の日」にすると宣言、マニラで盛大なパレードが行われた。

 2007年の下院選に立候補して落選したが、その後ボクシングで難敵相手に連勝、名声を高めた。「自分が受けた神の恩恵を還元し、国民を助けたい」と雪辱を期す。

 来年は大統領選と上下院選が控えており「立候補予定者は、パッキャオ選手に推薦人になってもらおうと懸命だ」(ロハス上院議員)との見方も出ている。