<プロボクシング:WBC世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦>◇27日◇東京・有明コロシアム

 WBC世界ミニマム級4位の黒木健孝(28=ヤマグチ土浦)が世界初挑戦に失敗した。37戦(13KO)無敗の同級王者オーレドン・シッサマーチャイ(24=タイ)に前半からペースを握られ、11回に右フックでダウンを奪ったが、2人のジャッジが1ポイント差をつける0-3の小差判定で敗れた。

 黒木があと1歩で世界を逃した。7回、スタミナの落ちた王者に右フックを決めて、流れを変えた。11回には右フックでダウンを奪い、最終12回も左ストレートでダウン寸前まで追い込んだ。それでも追いつけなかった。「惜しくても大差でも、負けは負けなんで」と、潔く敗北を認めた。

 日本、東洋太平洋とタイトルを奪った勢いそのまま、開始からがむしゃらに前に出た。同じサウスポーの王者に右フック、左ストレートを振るったが、逆に有効打を決められた。その失点が最後まで響いた。世界初挑戦で「心にゆとりがなかった」と振り返った。

 7人兄弟の4男。長崎・佐世保の定時制高校卒業後、上京して10年目に迎えたチャンスだった。07年5月に日本王者になるまで、ジムの屋根裏の4畳半で過ごした。その後もラーメン店で働きながら、夢を追いかけてきた。それだけに好機を逃したショックは大きかった。「(進退は)わからない。(世界挑戦には)お金も必要だし」と、今後の去就は保留した。