IBF(国際ボクシング連盟)世界スーパーフライ級王者の亀田大毅(25=亀田)が19日、米国合宿への出発前に成田空港で、王座返上の意向を表明した。昨年12月の王座統一戦で判定負けしながら王座を保持。試合前日に「亀田が負ければ王座は空位」と説明しながら前言を翻したIBFや、混乱を招いたジムの不手際によって騒動に発展していた。引退も頭をよぎったという大毅は、王座返上でけじめをつけて再出発する。

 会見の冒頭で、大毅が淡々と王座返上を明言した。「ファンの方には、お騒がせして申し訳ありませんでした。それから、IBF王座は返上しようと思います。こういう状況なので。12月の試合で負けた自分が悪い。それも認めます」。記者からの質問を受け付けない異例の形で約3分間行われた会見の中で、短い言葉で自身の責任を口にし、ボクシング界を揺るがした騒動へのけじめをつけた。

 亀田ジムの関係者によると、大毅は王者として、IBFにこれ以上の迷惑はかけられないという思いもあったという。当初、IBFは1月3日に指名試合の期限を設定していたが、騒動で延期するなど亀田側に配慮。だが、JBC(日本ボクシングコミッション)にはジム会長らのライセンス更新が認められず、日本では試合ができない状況になった。騒動がなかなか収まらず、大毅自身も精神的なダメージを受け、練習に打ち込めていないことなども返上を決断する決め手となったようだ。

 大毅は会見で「2回もチャンピオンになったし、やめようかなと思っていた」と、引退が頭をよぎったことも明かした。それでも、トレーニングをする兄興毅、弟和毅の姿を見て再出発を決意した。国内で試合ができない状況は続くとみられるが、「今できることは強くなること。一からボクシングをやりたい」と前を見据えた。

 王座返上という形で、3カ月以上に及んだ騒動は大きな区切りを迎えた。減量苦もあり、今後は1階級上のバンタム級への転向が濃厚。メキシコでトレーニング中の和毅と合流し、2カ月間の米国合宿に入る。【奥山将志】