<プロボクシング:10回戦>◇30日◇東京体育館

 WBC世界ミドル級9位の村田諒太(28=帝拳)が、連続判定勝ちも進化を示した。プロ6戦目は3-0で完勝。ガードの堅いジェシー・ニックロウ(27)からダウンを奪えなかったが、多彩なパンチ、コンビネーションに足も使ってみせた。いよいよ来年末に世界挑戦へ、来春に米国で世界ランカーと対戦する。

 10回終了のゴングに観客はため息も、村田には入場時と同じ笑顔が広がった。ジャッジ2人がフルマークも2試合ぶりのKOはできず、ダウンも奪えず。その分、あらゆることを試し、成長を見せた。

 村田は満足そうに言った。「バテた前回とは違う。最後までいろいろ試せ、練習通りに成長できた」。6回にバッティングで左のまぶたと頬をカット。まぶたはアマでも1度切ったが「こんな大きく、頬も初めてだが集中も切れず冷静だった」。これも経験だ。

 左ジャブをつき、左ボディーと上下打ち分け、右フックにアッパーも見せた。コンビネーションを何度も繰り出し、終盤には連打で棒立ちにさせた。今回は初めて国内調整し、3カ国から5人のパートナーを呼んだ。慣れた環境で腰を据えて練習できた成果だった。

 ニックロウは終始ガードを固め、初回に後頭部へ右をもらった。「振ってくるので危ないと。何回かは仕掛けた。プロなんで、倒せなかったのは申し訳ない」と、素直に反省もした。

 いよいよ来年末に世界挑戦へ米国へ打って出る。3月か4月に世界ランカーと対戦する。本田会長は「経験できた貴重な試合。間違いなく進化している。まずは今のレベルを知る試合」とプラン変更はない。

 1年前は奈良の実家で過ごし、2年前は東洋大職員で箱根駅伝の広報担当だった。今年はフルラウンドを戦い、半月のホテル生活からやっと自宅に戻る。「来年へいい経験。いつチャンスが来てもいいように練習するだけ」。1年後は米国で新年を迎えるべく、さらなる進化を期した。【河合香】

 ◆村田諒太(むらた・りょうた)1986年(昭61)1月12日、奈良市生まれ。伏見中1年でボクシングを始め、南京都高で高校5冠。東洋大では04年全日本選手権ミドル級で初優勝。08年に1度引退も09年春に復帰して国内13冠。11年世界選手権で銀メダル、12年ロンドン五輪で日本人48年ぶり金メダルを獲得。昨年8月にプロデビューし、東洋太平洋同級王者柴田に2回TKO勝ち。家族は佳子夫人と1男1女。182センチの右ボクサーファイター。