東前頭11枚目の魁聖(28=友綱)が無傷の5連勝を飾った。西前頭13枚目の千代丸(24)の変化に対応して押し出した。この日は兄弟子の旭天鵬(40)が、元大関魁皇を抜いて歴代単独1位の幕内1445回出場を果たした。その2人の“レジェンド”と同じ部屋で学んだブラジル出身の「日本人」が、高安(25)とともに平幕2人だけの全勝を守った。

 踏みとどまる力が、これまでとは違った。立ち合いで変わられて、魁聖は劣勢に回った。だが、簡単にはあきらめず、土俵を割らない。いや、割れなかった。

 相撲界の1つの歴史が塗り替えられた日。更新した旭天鵬と、それまで君臨した魁皇。その両雄と同じ部屋で過ごし、肌ですごさを感じてきた。2人の教えが染み込む体。祝福は白星しかない。突いて突いて千代丸を押し返した。「突っ張りができた」と、逆転の押し出しで全勝を守った。

 「なかなか同じ部屋で2人のレジェンドはいないっすよ」。かつて稽古で投げられ、左肩を脱臼したこともある魁皇に、厳しく教わったのはテッポウだった。出稽古先の東関部屋。稽古中に課せられ、稽古が終わっても居残りを命じられた。若い衆が土俵の砂を掃く中、延々と打ち続ける。それが日常の光景だった。「当時はしんどかった。でも、そのおかげで今いる」。身についたのが、千代丸を押し返した突きだった。

 12年夏場所からは、移籍してきた旭天鵬と過ごした。同じ右四つの現役最年長幕内。立ち合い、まわしの取り方、体のケア…。教わることは多かった。魁聖はこの日が幕内350回出場。1445回の40歳の兄弟子の4分の1にも届かない。「本当にすごいっす。オレもレジェンドになりたいな」とあこがれた。

 日系3世としてブラジルに生まれ、昨年末に日本国籍を取得した。初日からの5連勝は13年名古屋場所以来3度目だが「日本人」となってからは初。「どうしたんですかね」。暑い季節が大好きな男がノっている。【今村健人】