人気上昇中の宇良(23=木瀬)が黒星発進した直後の一番で、同じ新十両の佐藤(19=貴乃花)が千代丸(25=九重)を送り出しで破り、関取としての船出を白星で飾った。

 互いに距離を置いての突き、押しの応酬から1度はいなされ体が泳ぎ、西土俵の徳俵に左足がかかる絶体絶命のピンチ。これを重いながら柔らかい足腰で残し反撃。今度は千代丸の左腕を外し、いなすと後ろ向きの相手を送り出した。

 窮地の場面は自分でも「負けた、仕留められたなと思った」と言うが「新十両ですから。作戦なんかない、思い切ってやるしかない」と無我夢中でしのいだ。

 師匠の貴乃花親方が育てた、モンゴル出身の幕内貴ノ岩(26)に続く2人目の関取だが、日本人力士としては第1号の関取。その師匠からは「勝っても負けても長いスタンスで見なさい。勝って喜ばず、負けて落ち込むことなく1番1番、胸を張って行きなさい」と助言されているという。この日の相撲内容には満足しておらず「もう1度、気を引き締めて一喜一憂しないで淡々とやりたいです」と師匠ばりの境地で、15日間を乗り越える。