横綱日馬富士(32=伊勢ケ浜)が、ついに単独トップに躍り出た。

 2敗の相星対決となった大関稀勢の里(30=田子ノ浦)に鋭く当たると、左を深く差して、右前まわしも取る。それでも「(右が)まだ完全に取れていないので、深く差そうと思って待ってました」と、相手の左を封じながら勝機をうかがった。相手が肩越しに上手を取りに来た瞬間、もろ差しで攻め込み、寄り倒し。「立ち合いで、ちょっと遅れてしまいました。良い相撲を取って見せたいという気持ちでいっぱい。気持ちがいいです。勝っても負けても」と、04年九州場所でともに新入幕を果たした“盟友”との決戦を振り返った。

 3日目に金星を配給するなど追う展開だったが、ここに来て初めて単独トップに浮上。4場所ぶり8度目の賜杯へ前進したが「勝負事なのでね。1番1番の積み重ね。千秋楽で結果が出るわけですから、その前にいくら考えても意味のないこと」と冷静に話した。