香港俳優ジャッキー・チェン(54)が主演し、製作総指揮を務めた映画「新宿インシデント」(イー・トンシン監督、5月1日公開)が、ジャッキー作品初のR-15指定となることが16日、分かった。中国では上映禁止の措置もとられるなど、アジアが生んだ子供からも愛されているスターの主演作としては、異例の扱いだ。ジャッキーは、恋人を追って中国から密航し、犯罪に手を染めてしまう男・鉄頭を演じる。

 ジャッキーはこれまで、幅広い年代の観客が楽しめるようテンポの良いカンフーアクションを入れたコメディーを多く製作してきた。脇役で出演していた初期には、暴力描写のある作品もあったが、スターになってからは「たばこを吸わない」「女性のヌードを入れない」など、作品に対し細かい条件を設けてきた。

 今回は役者の幅を広げるために、新しい役柄に挑戦したという。演じるのは裏社会に生きる人間。カンフーアクションは一切ない代わりに、冷静に拳銃で人を殺す場面もある。ジャッキーは「初めて人を殺し、初めて女遊びもしている。新しい自分に挑戦し、観客にも挑戦したい」。意欲的に挑んだ作品だ。

 現在のところ、中国での上映の見通しは立っていないが、製作陣が上映を働きかけているという。香港では「新宿事件」のタイトルで4月公開、東南アジア各国でも上映される予定。

 同作は07~08年に中国や、新宿・歌舞伎町、神戸・南京街、上野・アメ横などで撮影。日本人キャストでは、竹中直人が刑事、加藤雅也が暴力団員、昨年10月に亡くなった峰岸徹さんが暴力団幹部として出演している。