人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」が26年ぶりに劇場版映画として製作・公開されることが17日、分かった。東宝の正月映画として12月に封切られる。83年「宇宙戦艦ヤマト

 完結編」公開後、続編製作の構想が何度か浮上したが、実現には至らなかった。新作「宇宙戦艦ヤマト

 復活編」は、最新CG技術を駆使し、地球の存亡をかけた壮大なSFドラマを展開させる。

 空前のブームから26年。幾度も地球滅亡の危機を救ってきた「ヤマト」が再び発進する。企画・原作・総監督を務めるヤマトの育ての親、西崎義展氏(74)は「喜びで胸いっぱいです」と公開決定に心を弾ませている。最新CG技術も使った製作作業は昨年8月から開始。都内に新設した「ヤマトスタジオ」にスタッフを集め、同氏が陣頭指揮を執っている。作業は全体の約60%の段階まで進み、10月完成を目指している。

 新作の構想は17年前から温められてきた。04年には製作発表も行ったが、著作権をめぐる原作者松本零士氏(71)との法廷闘争や、銃刀法違反容疑による西崎氏の逮捕などがあり、実現に至らなかった。昨年までに諸問題を解決したことから、本格的な製作作業に入っていた。配給の東宝も大きな期待を寄せており、正月映画として公開することを決定した。

 物語は「完結編」のエピソードから20年後を舞台とする。地球は半年後に移動性ブラックホールにのみ込まれると判明。人類の移民計画が進められる中、移民船団が正体不明の艦隊に次々と襲撃されてしまう。かつて水没の危機から地球を救うため自沈したはずのヤマトが、極秘の整備改良を経て再び難敵に立ち向かう。38歳になった主人公古代進が艦長に就任。壮年期を迎えたおなじみの乗組員も再結集する。西崎氏は異色プランも進めている。現段階で「地球が壊滅するか存続するか」の2種類の結末を用意。同氏は「どちらにするか思案中です」。

 ヤマトブームが起こった70~80年代に比べ、世界情勢は混迷化している。新作ではそうした状況を連想させる物語展開も用意。環境問題に直面している現代人の心に響くメッセージを古代が叫ぶ場面もあるという。劇場版4本で計1000万人を動員した「宇宙戦艦ヤマト」が21世紀にどう受け止められるか注目だ。