在米日本人を主人公に製作した米映画「ホワイト・オン・ライス」(09年)で在米日本人たちを大爆笑させた日本語が流暢なデイブ・ボイル監督が、米俳優スティーブン・セガールを父に持つ女優藤谷文子と俳優北村一輝を主演に、新たな日米合作映画「Man From Reno(リノから来た男、邦題:マンフロムリノ)」を製作し、27日に初日舞台あいさつが行われました。

 ロサンゼルス映画祭でグランプリを受賞した本作は、藤谷演じるミステリー作家が旅先のサンフランシスコで北村演じる謎の男と出会い、ぺぺ・セルナ演じる保安官と共に事件に巻き込まれていくサスペンスミステリーで、ロサンゼルスやニューヨークなど全米12都市での公開が決まり、ロサンゼルスでの初日は満員御礼の大反響でした。

 ロサンゼルス郊外のパサデナの劇場で行われた初日舞台あいさつには、ボイル監督、藤谷、セルナらが出席し、日本人のみならずアメリカ人からも大拍手が起こる大盛況。上映後には観客からの質問に答えるQ&Aも行われ、「ぜひ続編が見たい」との声もあがっていました。

 19歳の時にモルモン教の宣教師としてオーストラリアに2年間滞在した際に日本語を取得したと言うボイル監督は、その経験を通じて日本の文化に興味を持ち、帰国後は大学で日本語を専攻した完璧なバイリンガル。06年にリトルトーキョーを舞台にした日米ギャップコメディ「ビック・ドリームズ・リトルトーキョー」で長編デビューし、今作が長編5作目。今作でも、サンフランシスコに住む日本人が登場するなど、日米の文化が入り交ざるミックスカルチャーな色合いが強く、日本語が堪能なボイル監督ならではのウィットに飛んだ台詞も出てきます。

 ボイル監督が「デイライト・セービング」で起用した藤谷をイメージして脚本を書いたそうで、女優としてだけでなく小説家としても活躍する藤谷は「小説を書いている時の所作や、作家っぽさみたいなにじみ出るものは私なら説得力があると思ってくれたようです」と語っています。

 撮影はサンフランシスコとロサンゼルスで行われ、英語と日本語が飛び交う国際色豊な現場だったと言います。日本語の台詞は英語の台本を日本語訳し、さらに藤谷ら日本人俳優たちの助言も取り入れ、リハーサルで台詞を変える場面もあったと言います。

 日米のミステリー小説をミックスしたような今までにないテイストの作品に仕上がっている本作は、日本公開は6月です。

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