01年に死去した歌手三波春夫さん(享年77)の歌声が、最新の音声合成技術でよみがえることが19日、分かった。250万枚ヒットの代表曲「東京五輪音頭」と桐谷健太(36)のカバー曲「海の声」が今日20日から配信される。

 名古屋工大が独自開発した最新の統計的技術を用い、歌唱のくせや感情までも表現した。実際にCDの音声と聞き比べてみると、朗らかに伸びる高音や節回し、「東京-」の歌詞にある「ヨイッショ!」の生き生きとした掛け声が耳に残る。

 歌唱するのは着物姿のバーチャルアーティスト「ハルオロイド・ミナミ」。三波さんの名前にちなみ、プロフィルは年齢37・3歳、身長173・73センチ、体重63・73キロと、数字の「3」と「7」にこだわった設定にした。手の動作は三波さんの振り付け指導を行っている長女三波美夕紀さん(58)の所作をCG処理。躍動感ある動きにした。

 音声合成ソフトウエア「CeVIO(チェビオ)」とボイスデータをダウンロードすれば、好きな楽曲を自由に「ハルオロイド」に歌唱させることができる。1カ月間限定の無料体験版もある。

 死去から15年。明るい歌声で日本の心を歌った三波さんの“分身”の歌声は「http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/hal-o-roid/」で聞くことができる。

 ◆音声合成技術・ソフト バーチャルアイドル、初音ミクに使われる技術「ボーカロイド」はヤマハが開発。歌声に関する国内有料市場の過半数を占める。音声を分割してつなげる方式で、「声」そのものを表現するのが得意。一方のチェビオは人が発声する過程をシミュレートして音声を作るので、癖や感情表現などの「歌い方」を表現しやすくなっている。