新海誠監督(43)は、97年「もののけ姫」の宮崎駿監督以来、アニメーション監督としては19年ぶり2人目の監督賞を受賞し「大変に重い賞をいただいてしまった。少し足がすくむ思いです」とあいさつした。

 「君の名は。」は、ある出来事をきっかけに心と体が入れ替わる東京の男子高校生と田舎の女子高生を描く、切ない青春ファンタジーだ。22日時点で興行収入(興収)210億円、動員は1620万人を突破。邦画での興収200億円超えは、01年に興収308億円を記録した宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」以来15年ぶり。また米アカデミー賞長編アニメ部門の審査対象になっており、前哨戦といわれる米ロサンゼルス映画批評家協会賞最優秀アニメ賞を受賞。中国、タイでも日本映画の歴代最高興収を挙げるなど国内外で空前の大ヒットを続けている。

 新海監督は「君の名は。」製作の舞台裏を語り、関係各位に感謝した。

 「『君の名は。』で言えば、キャラクターは6万枚の画、背景は1700枚くらいの画でできている。1枚たりとも、僕は書いていない。たくさんのスタッフの集大成で出来ている。成功は、宣伝、配給を含めた全てのスタッフのおかげ」

 「設計図は全て、絵コンテで書きます。1カット何秒何コマで、どこからどこまで歩くかを絵コンテで設計する。そこを僕が作ります。脚本と絵コンテで1年…そこは僕1人で、そこからは200人のスタッフで1年。好きな人が集まっているので楽しくやってます」

 前年受賞者の原田真人監督(67)が、楯のプレゼンターとして登壇した。原田監督は、新海監督が「過去の受賞者を見ても、ずっと見てきた監督の名前が並んでいる。(自分が)連なっているとは思いませんが、恥ずかしくないものを作りたい」と語ったことを受け、「見た感じだと、主役2人の演技はすばらしく、光の使い方がすばらしかった。監督賞の受賞は当然だと思う」と、新海監督を高く評価した。

 日刊スポーツ映画大賞のもようは、29日のニッポン放送「コトブキツカサの2016年映画総決算!」(午後4時)で詳しく紹介される。【村上幸将】