日本を代表する撮影監督として知られる、木村大作監督(86)の18年「散り椿」以来9年ぶりの監督作「腹をくくって」が製作され、27年に公開されることが1日、都内の東映本社で行われた企画発表記者会見で発表された。監督・撮影・企画・脚本・編集の5役を自ら担当し、立山連峰を望む富山、長野、京都、滋賀などで、10月からオールロケ撮影を敢行する予定。主演は山﨑賢人(31)が務める。共演には松山ケンイチ(41)松田龍平(42)古川琴音(29)北大路欣也(83)渡辺謙(66)阿部寛(61)佐藤浩市(65)と、日本映画界屈指の豪華俳優陣が顔をそろえた。

木村監督は「1番の、この映画のウリはキャスティングです」と強調した。その一方で「映画作りは変わっていない。昭和の作り方。でも、新しくなっている。スケジュール表を、1年前に俳優さんに渡し『従って渡してください。できないなら受けないで結構』と。映画のスケジュールで俳優を集めたかった」と声を大にした。「今の日本映画は、俳優のスケジュールで映画を撮っている。俳優さん主導の映画製作になっている。こっちから1年半前に渡し、これでやっていただけませんかと言って、了承した」と、映画主導でキャスティングしたことを力説した。

「腹をくくって」は、山本周五郎の小説を原案に、江戸時代中期の北陸・小藩を舞台に、さまざまな難題が降りかかる中、時に激しく剣を交え“腹をくくって”生きていくこととなった武士たちとその家族を描く。高倉健さん主演の77年「八甲田山」(森谷司郎監督)や99年「鉄道員(ぽっぽや)」(降旗康男監督)、観客動員240万人を超えた自身の初監督作の09年「劔岳 点の記」で、日本の美しい情景と日本人の美しいたたずまいを撮ってきた木村監督が、70年に迫る活動屋人生の全てを注いで挑む。

木村監督は「あと5年だと思ってますよ…でも、遺言のために作るんじゃない。体力は落ちましたよ…でも気力は増している。この映画が最後じゃないですよ。辞めていく時は、そっと辞めていく。あと2本はやりたい!!」と、まだまだ映画作りを続ける意欲を示した。一方で「これだけの人(俳優)が集まるんですよ。なかなかのものだと思う。封切ってコケたりしたら…日本映画、終わりだよね。自分も終わりだと思っている」とまで言い切った。

◆木村大作(きむら・だいさく)1939年(昭14)7月13日、東京都生まれ。都立蔵前工業高を卒業し58年に東宝に入社。撮影部に撮影助手として配属される。62年「椿三十郎」など黒沢監督の下で映画作りを学び、73年「野獣狩り」(須川栄三監督監督)で撮影監督デビュー。77年「八甲田山」で日本アカデミー賞優秀技術賞。代表作は、81年「駅 STATION」(降旗康男監督)など多数。03年に紫綬褒章、10年には旭日小綬章を受章。「劒岳 点の記」では日本アカデミー賞最優秀監督賞。「腹をくくって」は、14年「春を背負って」を含めれば監督第4作となる。20年には撮影監督の分野では初の文化功労者に選ばれた。