山田洋次監督(94)が1日、東京・池袋の新文芸坐で行われた「昭和100周年記念 邦画5社×新文芸坐『名作発掘! 昭和100年、いま観たい映画~新文芸坐編~』特集上映」に登壇。渥美清さんが主演し、吉永小百合(81)がマドンナを演じた1972年(昭47)の「男はつらいよ」シリーズ第9作「-柴又慕情」上映後に「山田洋次監督と振り返る、あの頃の撮影所と映画づくり」と題し、元山田組助監督の阿部勉監督(69)と対談した。

上映には、同作で吉永が演じた歌子の短大時代からの友人で一緒に旅をした3人娘の1人、マリを演じた泉洋子さんが観客の1人として駆けつけ、客席に座っていた。山田監督は、司会・進行を務めた映画評論家の石飛徳樹氏(日刊スポーツ映画大賞選考委員)から、泉さんの存在を知らされると「えっ!? うわぁ~懐かしい!」と驚き、大喜びした。

泉さんは「『-柴又慕情』の3人娘の1人を演じた、泉洋子でございます。50年ぶりくらいで、スクリーンで自分の姿を見まして。ミニスカートが、あんなに似合っていたんだと思いました。監督も本当にお元気で、ますますのご活躍を…ありがとうございます」と、客席から山田監督にメッセージを送った。同監督は「懐かしい。あなたは、本当にかわいらしかったね。よく来て下さいました」と感激の面持ちを浮かべた。

山田監督は、冒頭で「男はつらいよ」シリーズの製作経緯を振り返った。「第1作は1969年(昭44)。ずいぶん、昔の話ですよね。いろいろないきさつがあって、ゴタゴタした挙げ句にクランクインにたどり着けた。(68~69年の)フジテレビのテレビドラマが好評で、スクリーンでもう1回、寅さんに会おうと」と説明。「愚かしい男が美女に恋して失恋するというのが簡単な話。日本一の美女が良いと思ったんだよね。プログラムピクチャーで予算もなく…何で日本一の美女がいいと思ったのか、疑問に思うんだよね。愚かしい男が、美しいものに触れる、というのかな?」と続けた。

その上で、製作・配給の松竹ではなく日活出身の女優だった吉永と「-柴又慕情」で初タッグを組んだ経緯を語った。「じゃ、日本一の美女が誰か? ということになるんだけど、吉永小百合さんは、ものすごく人気があった…日活の女優さんで。ついに、マドンナにキャスティングが成功してね。衣装合わせで大船撮影所に来る時、全体が興奮していたことを覚えていますよ」と、昨日のことのように振り返った。さらに「どんな女優さんでも、渥美さんと組み合わせると、独特の面白さが生まれる。それが渥美さんのすごさ。太地喜和子さんみたいな力のある女優だとガップリ組む。きれいな女優さんは美しさを際立たせる演技をする。どんな俳優を相手にしても、その人を立たせるのが、すごさだと思う」と、渥美さんが俳優としての並外れた存在であったと強調した。