河瀬直美監督(47)の新作「光」(5月27日公開)が、世界3大映画祭の1つ、第70回カンヌ映画祭(5月17日、フランスで開幕)の、最高賞パルムドールを争うコンペティション部門にノミネートされた。13日、映画祭事務局が発表した。受賞結果は最終日の5月28日(日本時間同29日)に発表される。河瀬監督と主演の永瀬正敏(50)、水崎綾女(27)が、カンヌ映画祭への参加を予定している。

 「光」は、15年にカンヌ映画祭ある視点部門のオープニング作品として上映された、河瀬監督の前作「あん」に引き続き、同監督と永瀬がタッグを組んだ。永瀬演じる弱視の天才カメラマン中森雅哉と、水崎演じる映画の音声ガイド制作者・尾崎美佐子が出会い、音声ガイドの製作過程で衝突を繰り返しながらも、互いの心を通わせ、雅哉の目が見えなくなることを知りながらも、美佐子がその内面にひかれていく物語だ。

 河瀬監督にとって、コンペティション部門への出品は、14年「2つ目の窓」以来3年ぶり5度目。07年「殯(もがり)の森」では審査員特別大賞を受賞しており、コンペティション部門5度目の挑戦で、初のパルムドール受賞を目指す。同監督はノミネートにあたり、コメントを発表した。

 河瀬監督 映画は、「光」です。映画は、「魂」です。映画に魂をささげたものとして、この映画「光」をこの世界に誕生させた、スタッフ、俳優のみんな、みんな、みんな、とカンヌでの瞬間を分かち合えること、いま、とてもうれしい。50回目のカンヌで初めて訪れた場所・・あれから20年の節目にまたあそこに立てる喜びをかみしめています。ありがとう。

 永瀬は「あん」と、16年にコンペティション部門に出品された米国のジム・ジャームッシュ監督の「Paterson」に続き、3年連続でのカンヌ映画祭への参加となる。出演作が3年連続でカンヌ映画祭で招待を受けるのは、日本人俳優として初の快挙となる。永瀬は次のようにコメントした。

 永瀬 撮影でお世話になった視覚障害者の皆さんに心から感謝しています。また世界中で作られている数々の作品の中から「光」を選んでいただけたこと、本当に感謝しています。河瀬直美監督の思い、たくさんの方々の思いが詰まったこの作品を、世界の皆さんに見ていただけることが何よりうれしいです。

 国際映画祭初参加となる水崎は「カンヌ映画祭なんて、自分とは別の世界だと思っていたので、今回のノミネートに驚愕(きょうがく)しております。映画祭自体も初めてなのですが、世界各国から来られるたくさんの方にこの作品を見ていただけることが、とてもうれしく思います」とコメントした。【村上幸将】