KAT-TUNのメンバーだった歌手田中聖容疑者(31)が、24日に東京都渋谷区内で大麻を所持していたとして、警視庁渋谷署に大麻取締法違反容疑で現行犯逮捕されていたことが25日、分かった。

 田中容疑者はかつて、薬物疑惑があるとして捜査当局に本格的にマークされていた。

 複数の関係者によると、薬物疑惑が浮上していたのは10年近く前。06年3月にKAT-TUNが初シングルを出してから、少し後の時期と思われる。薬物事件を担当する一部捜査当局は当時、複数の情報筋から田中容疑者の薬物疑惑に関する信頼性の高い情報を入手。摘発も視野に入れ、周辺捜査を開始したという。

 当時を知る関係者は「仮に薬物疑惑が事実だとしても、人気アイドルだけに確実に証拠や現場を押さえないと逮捕に踏み切れない。それだけに捜査員らは交友関係や出入り先を徹底的に洗い、田中(容疑者)の行動確認も含め、慎重に捜査を始めたようだ」と証言した。

 当局はまず、田中容疑者と交際していたと目された同年代知人女性を大麻取締法違反容疑と覚せい剤取締法違反容疑で逮捕。同女性から田中容疑者の「薬物情報」を詳しく聴き逮捕につなげたかったが「彼女が逮捕された時点で、すでに田中とは別れていたようだった。最新の情報がなく、彼女からもたらされる情報は逮捕への決定打とはならなかった模様」だった。

 結局、この女性の逮捕とともに、女性の新恋人だった別の同居男性が薬物事案で逮捕された。この男性がたまたま著名人だったため、隠密での田中容疑者の捜査が、途中段階で報じられてしまったという。別の関係者は「田中(容疑者)も周辺に薬物捜査の手が迫っていることを把握できてしまい、水面下で進めるべき薬物捜査が表沙汰になってしまった。警戒を強めたことを想定し、当局は徹底マークをいったん緩めたのではないか」と振り返った。