上方お笑い大賞の流れをくむ「第3回ytv漫才新人賞決定戦」が2日、大阪市内で行われ、9年目の藤崎マーケットが悲願の初Vを達成した。コンビは若手用劇場「5upよしもと」を卒業したばかりで、田崎佑一(33)は「卒業して(拠点も)なくなり、節目だったんで、本当によかった」と笑顔を見せた。

 一方のトキ(29)は「解散も…ってなってたんで」と、苦悩の日々を告白した。05年結成のコンビは、駆け出し時代に「ラララライ体操」で全国的にブレーク。漫才の腕を磨く間もなく多忙になり、08年ごろから「漫才をしっかりやりたい」として、同体操を“封印”した。

 すると、東京のテレビ局スタッフから叱責を受けたという。「『お前らはラララライ体操だけやってればいい』と言われまして。ずっと見返したいって思ってました」(トキ)。ただ、その闘志も空回り。生活は乱れ、大阪の劇場出演では、遅刻を繰り返すようになり、田崎から解散を切り出された。

 田崎は当時を振り返り「もう1回(遅刻)やったら終わりって言って、1カ月もせんうちにまたやった」。それでも先輩から解散を慰留され、トキは医師の診断を受けて寝坊の理由を探った。

 酒、タバコをやめ、ボクシングジムに通い、生活改善に数カ月、専念。復活を果たし、12年には「第10回MBS漫才アワード」で優勝した。田崎は「もう、この何年も(トキの)遅刻はないし、神様も見てくれてるんやなと思った」と、悩みの種だった相方を見て、笑った。

 トキは「東京で死亡説とか、誹謗(ひぼう)中傷されてるんで、いつか復讐(ふくしゅう)したい」と、強い気持ちを込め、東京再進出も視野に入れる。ただ、その前に「関西の番組で恩返しがしたい」とも言い、復活を支えてくれたファン、スタッフ、仲間への感謝の気持ちも吐露した。

 今回の優勝賞金100万円は、今回のライバルだった仲間との慰安旅行に使うという。2人は「(決勝で争った)和牛とか、みんな、ライバルがいたからネタも作れた。和牛なんか、いつも練習してるし、みんな楽屋でネタを作ってる。切磋琢磨(せっさたくま)してきてから優勝できた」と声をそろえていた。