大相撲元小結でタレントの龍虎さん(本名・鈴木忠清=すずき・ただきよ)が29日午前11時、静岡県掛川市の病院で急死したことが30日、分かった。73歳だった。

 都内の自宅で同日夜、取材に応じた貴子夫人(53)によると、死因は循環器疾患で、心筋梗塞とみられる。家族で同市内を旅行中、坂道で歩き遅れて追いついてこない龍虎さんを不審に思った夫人が、呼びに戻ったところ、倒れている龍虎さんを発見した。長女珠子さん(21)長男規裕さん(20)が心肺蘇生措置を施し、救急搬送されたが、意識が戻ることはなかった。

 龍虎さんは29日朝、日帰り旅行で同市内を訪れていた。久々の家族旅行を楽しみにしており、貴子夫人は「朝は5時半に起きて、車を出したり、楽しそうだった」。過去に心筋梗塞を患っていたが、最近は体調も良さそうだったといい、同夫人は「異変に気付いてあげられず、心残りです」と涙ながらに語った。

 龍虎さんは、57年初場所に鈴木山のしこ名で初土俵を踏み、改名を重ねながら、66年夏場所を前に師匠の花籠親方から「漢語由来のしこ名を名乗ると出世する」と勧められ、龍虎と改名。68年春場所に新入幕を果たした。昇進後は美男子力士として人気を博して70年春場所では小結に。71年九州場所では、左アキレスけん断裂で幕下に転落も、73年名古屋場所に再入幕を果たし、75年初場所で小結に復帰した。しかし、同年夏場所初日に右アキレス腱を切断して、その場所限りで現役を引退した。

 引退後は年寄放駒を襲名したが、77年に日本相撲協会を退職し、タレントに転向。しこ名の「龍虎」を芸名とし、本格的に芸能界に進出した。協会在職時代の76年1月からレギュラーのTBS系「料理天国」には名物試食人として、90年3月まで出演した。俳優としても時代劇を中心に舞台、ドラマに出演。大相撲のご意見番として、テレビ、ラジオの出演も重ねた。

 私生活では、92年に観世流太鼓十六世宗家、観世元信の長女貴子さんと結婚。同年11月に珠子さん、94年8月に規裕さんが誕生した。

 通夜は9月4日、葬儀・告別式は同5日、ともに東京都目黒区中目黒3の1の6、正覚寺たちばな会館で。