早期の胃がん手術後に自宅療養していた俳優市村正親(65)が3日、都内の所属事務所で会見を行い、「元気に戻ってきました」と回復宣言した。6月に急性胃炎で入院した時に妻の女優篠原涼子(41)が「もっと調べたら」と精密検査を勧めて胃がんと判明したことを明かし「妻は命の恩人です」と感謝した。10月上旬にミュージカル「モーツァルト!」の稽古で復帰する。

 妻篠原涼子のひと言が市村の命を救った。6月下旬に魚料理にあたって急性胃炎と診断され1週間入院した。その時、市村の病状を心配した篠原が「もっと調べてほしい」と申し入れ、病理検査の結果、早期の胃がんと分かった。医者から告知された時、市村は「医学を信じようと思った。でも、2人の息子(4歳と2歳)が小さいので、おやじがこんなことになってかわいそうと思った」と明かす。目と目で「来ちゃったね」と思いを交わした篠原も顔が真っ青だったという。

 8月初めの腹腔(ふくくう)鏡手術は4時間半、胃の半分を切除した。術後の検査で悪性部分はすべて切除したことが分かると「妻と一緒に泣きました。妻の目に星がぱーっと光って、僕も光っていたと思う」。退院後、自宅に帰ると2歳の息子が「パパ、大丈夫」「これ食べなよ」と言ってくれたという。「入院でいなかった時に耐えていたんだなと思った」と涙をみせた。「上の子も気が付く子で、リーダーシップをとって妻をサポートしてくれた。おなかの手術の傷をみせたら『あー痛そう』って言ってくれた。家族っていいなと思ったし、療養中は子供との時間を楽しみたい」。13日に篠原の誕生日だったが、篠原に「あなたが健康な体になったのが最高のプレゼント」と言われたことを明かし、「命の恩人だから、あらためてプレゼントを考えます」

 入院で体重が4・5キロ減ったが、食事は1日4、5回で少なめな量をよくかんで食べている。ホットヨガ、ジムに通い、リハビリに励み、10月上旬に帝劇ミュージカル「モーツァルト!」(11月8日初日)の稽古で仕事復帰する。入院のため、7月27日を最後に出演中のミュージカル「ミス・サイゴン」を降板。出演予定だった三谷幸喜脚本のTBS系ドラマ「おやじの背中」も降板した。「皆さんに迷惑をかけたが、おかげでしっかりとリハビリに励むことができた」。

 帝劇にはファンからの多数の応援メッセージが寄せられ、「おれって人気があるのかなと思った。神様に与えられた命なので、ガツガツやらずに長く続けられるように頑張る。でも、酒はやめないよ。週2日は休肝日にするけど」と笑った。今回の病気で家族のきずなを再確認した。「妻はいろんな宝をくれたけど、また1つ自分の命をもらった気がする。3人兄弟をよろしくお願いしますと言いたい」。