阪神・淡路大震災から20年の17日、震災を直接知らない女子大生の日常を通し「神戸のいま」を描いた映画「神戸在住」が公開初日を迎えた。地元神戸市中央区のシネリーブル神戸では主演の藤本泉(23)浦浜アリサ(24)松永渚(23)柳田小百合(24歳)と白羽弥仁監督(50)が舞台挨拶を行った。藤本は「両親が神戸に11年住んでいたり、親戚が震災に遭ったり、神戸は縁のある街。役者としての私の仕事は伝えることだと思います。特別な作品になった。未来の神戸を向いた明るい気持ちになれる、背中を押してもらえる作品です」と話した。

 兵庫・川西市出身の浦浜は「地震の朝は一緒に寝ていた母親がかばってくれたことを覚えている。撮影中に神戸の景色を眺めていると、1度なくなった街だったんだと思い、映画に出演することに責任感を感じた」。松永と柳田は早朝に同市の東遊園地を訪れ祈りを捧げたことを明かした。

 白羽監督は「震災前の神戸のモダンな空気感と、今日の街をどう重ねるかということに苦心した。新しい建物より、昔の雰囲気の残る風景や空を意識して描いた」と話した。

 

 原作は98年から06年まで月刊アフタヌーン(講談社)で連載された木村紺の同名漫画。物語は、神戸の大学で美術を専攻する東京出身の辰木桂(藤本泉)とその友人たちを中心に展開。ヒロインは震災前後に生まれた世代で、地震に関する直接の記憶はないが、出会い関わる周りの大人たちや友人の話からその傷跡の深さを知る。全神戸市民の4割が地震を直接知らない世代という現実のデータともリンクする。

 同作は開局45年を迎えた地元放送局サンテレビが制作。17日20時から同局でドラマ版もオンエアされ、劇場・地上波同時上映という珍しいスタイルをとる。脚本をはじめ撮影、照明、美術など監督が信頼する映画関係のスタッフが要所を固めた。ドラマは東北・関東・中部・関西各エリアの独立系局など12局で順次放送予定。詳細は同局サイト(http://www.sun-tv.co.jp/kobe-zaiju)を参照。