【香港11日=近藤由美子】近藤真彦(47)が25年ぶりの香港公演をハイテック・スターホールで行った。公演前には子豚の丸焼きを神に供え、イベントの無事を祈る儀式に参加。「25年前にもやったと言われたけど、さすがに覚えてないよ」。独特の儀式も記憶にないほど久々のステージに「逃げ出したい。失敗できないしね」と、珍しく緊張感を口にした。

 香港公演は4回目。デビュー当時から絶大な人気を誇ってきた。80年代は「マッチカット」と呼ばれた髪形が大流行。シングル「夕焼けの歌」は香港スター、故アニタ・ムイさんがカバーし、人気になった。9月に行った現地会見には、取材陣150人が駆け付けた。今回も前日10日、空港到着が深夜にかかわらず、550人が集まるなど、人気は相変わらずだった。

 香港公演開催のオファーは以前からあった。この時期に実現させた理由について「ひらめきがあったのと、香港の友人に『ライブをやってよ』と言われていたのが頭に残っていたしね」と話した。昨年はCDデビュー30周年を記念した全国ツアーを実施。一大イベントを終え、一段落したこともあって、長年のラブコールに応える環境が整った。

 因縁もあった。85年の2回目の香港公演では、現地メディアに態度が悪いとたたかれた。当時はやんちゃ盛りだった。「若かったと言えば、若かった。お互い勘違いもあったけど、僕は気にしてない。今回は前回の分まで空港で頭を下げて、ニコニコしてきたよ」。

 25年前、公演前日も朝まで飲み明かしていた。今回は睡眠を十分取り、この日は朝から3時間、しっかり体を動かしてステージに立った。2回公演で計8000人が来場。「夕焼けの歌」をはじめ、何度も日本語で大合唱が起きた。

 「歌でしっかり勝負できた充実感があります。またやりたいなという思いとともに、できるという確信を持ちました。次回は25年後とは言いません。また近いうちに」。確かな手応えに、決まりごとが嫌いなマッチが再訪を約束した。