人気脚本家で演出家、三谷幸喜氏(52)の3年ぶりの書き下ろし新作舞台「酒と涙とジキルとハイド」(来年4月10日から東京芸術劇場、5月4日から東京・天王洲銀河劇場)に歌舞伎俳優片岡愛之助(41)と優香(33)が出演することが8日、分かった。ドラマ「半沢直樹」でブレークした愛之助は歌舞伎で多忙な中、念願の三谷作品出演のため関係者を説得してスケジュールを確保した。ヒロイン役の優香は舞台初挑戦となる。

 愛之助は以前から三谷作品出演を熱望していた。稽古で約3カ月間のスケジュールを空ける必要があり、歌舞伎の仕事を考えると、実現は難しかった。今年3月に出演依頼が届くと「『絶対やりたい!』という思いに駆られて関係者に直談判してしまいました」。舞台は「ジキル博士とハイド氏」を題材にしたコメディー。愛之助は主人公ジキル博士役。大阪出身らしく「関西の血が騒ぎ始めております」と燃えている。

 三谷氏が脚本を手掛けた06年NHKドラマ「新選組!!

 土方歳三の最期」にも出演していた。「半沢直樹」ではオネエの金融庁エリートを演じた。作品の中で異彩を放つキャラクターとして大きな反響があった。三谷氏は「彼がひたすら真面目に演じる時、そこにはほのかなおかしみが生まれます。僕の直感ですが愛之助さんは絶対コメディーに向いていると思います」。

 優香は意外にも舞台初挑戦。以前まで毎週の生放送番組出演などがあり、舞台出演のスケジュールを確保できなかった。それでも三谷作品の大ファンとして劇場にも足を運んで観劇してきた。三谷作品出演は04年NHK大河ドラマ「新選組!」以来。「三谷作品が好きだけど、まさか自分がやらせていただけるなんて…三谷さんに全てを預けます!」と話している。ジキル博士の婚約者のお嬢さまと退廃的な売春婦という一人二役に挑む。数年前から優香に出演を依頼していた三谷氏は「感性、度胸、間の良さ、そして愛嬌(あいきょう)。コメディエンヌとしての全ての要素を持っています」と褒めちぎる。

 これまで深津絵里(40)鈴木京香(45)ら人気女優の魅力を引き出してきた三谷氏は「最強の喜劇女優の誕生の瞬間を目にするはず」と確信しているという。