覚せい剤取締法違反(所持と使用)などの罪で起訴され、3日に保釈されたCHAGE

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 ASKAのASKA(本名宮崎重明)被告(56)の再起について、専門家は厳しい見方を示した。少年少女の非行問題に取り組む「夜回り先生」として知られ、薬物問題に詳しい元高校教師の水谷修氏(58)は、ASKA被告の目を「まだ完全なシャブ目」と指摘し、長い治療を受ける必要があるとした。

 水谷氏はテレビで保釈されたASKA被告の表情を確認し、ズバリと指摘した。「目だけがすわっている。覚せい剤使用者の独特の、切れ込んだ目です。入院治療を受けるのは正解。薬物依存は数週間で抜けるようなものではない」。

 逮捕から48日目。この時期の状態については、「精神的にはボロボロだろうが、急速な離脱症状は終わって安定している時期ではある」と解説。一方で「3の倍数の時期は危険といわれる。(薬物を断って)3カ月、9カ月、3年。フラッシュバックや禁断症状に悩まされる」と警告した。

 ASKA被告は、保釈後に発表した書面に「裁判まで医師の指導を受ける」と明記した。水谷氏は「病院に行くのは正解。どれだけ入院していられるかがかぎになる。裁判所へも病院から向かったのかを注目したい。もし、1~2週間で病院を出て家に帰るなんてことになっていたら、アウトだね」と再使用の危険性を語った。

 今後は、病院や、ダルクなどの薬物依存者回復支援施設、同じ依存症と闘う仲間と連携、連絡を取ることが大事だという。「危ないのは、自分でやめられるとか、家族がやめさせると言って、自分たちで薬物依存から抜けようとすること。愛や意思で薬物をやめられるなら、こんなに乱用は広がらない」。

 その上で「薬物依存から回復するには、使用期間の3倍の時間が必要」とした。ASKA被告は、覚せい剤使用を始めた時期を「2~3年前から」と供述しているが、一般的に「取り調べでは自供しても、実際の使用期間の半分で供述するケースが多い」という法曹関係者の声もある。さらにいえば、ASKA被告は、覚せい剤使用前に別の薬物に依存していたという情報もある。その状況も踏まえ、水谷氏は「働けないというわけではない。午前中リハビリ施設に来て、午後から歌を歌う、作曲活動をするということもできる。『今日1日薬を断つ』これを毎日毎日続けていくことです」と、更生への道を説いた。

 ◆水谷修(みずたに・おさむ)1956年(昭31)5月8日、横浜市生まれ。上智大文学部哲学科卒業。横浜市で高校教師になり、深夜の繁華街をパトロールする「夜回り」を通し、若者たちと触れ合う。非行防止、薬物汚染の拡大予防の活動を続ける。著書「夜回り先生」は、04年にTBS系でドラマ化された。

 ◆保釈条件

 住所は「釈放指揮書」に書かれており、自宅、病院など、明らかになっていれば良い。身元引受人が誰になるかで、住所が決まる場合も多い。また、共犯者とされる人物との接見は禁止される。一緒に逮捕された知人の栩内香澄美被告は勾留が続いているが、もし保釈されても会うことはできない。海外旅行や3泊以上住居を空ける時は、裁判所の許可が必要になる。