覚せい剤取締法違反などで有罪が確定した歌手ASKA(56)に合成麻薬MDMAなどを営利目的で譲渡したとして、麻薬取締法違反容疑で逮捕・起訴された指定暴力団住吉会系組幹部安成貴彦被告(47)と、無職柳生雅由被告(64)の初公判が21日、東京地裁で行われた。

 安成被告は「身に覚えのないことです」と全面否認。柳生被告は「共謀はしていません。お菓子を渡しただけ」と無罪を主張した。早口で話したため、江見健一裁判長から「MDMAを渡した?」などと再確認されると柳生被告は、3月に「ポテトチップス」、5月に「ポッキー」を渡したと答えた。すると柳生被告の弁護人が「打ち合わせと違うことを言っているので、時間をいただいて、あらためて認否の確認をしていただきたい」と要請、証拠の確認などは次回以降に持ち越される展開となった。裁判長が「弁護人とよく打ち合わせするように」と柳生被告に促す場面もあった。

 検察側によると、被告2人は共謀し、今年3月24日に都内のASKA宅でMDMA約100錠、5月10日に都内路上に止めた車の中で覚せい剤約3グラム、柳生被告がASKAに譲渡したとしている。ASKAと柳生被告は1991年に大阪で出会い2010年頃からASKAから覚せい剤の入手を依頼され、安成被告を通じて覚せい剤を手配していたと指摘した。今月下旬に追起訴を予定しているという。次回公判は来月26日に行われる。【大友陽平】