1983年(昭58)4月から1年間、放送され、国民的人気ドラマになったNHK連続テレビ小説「おしん」が初めて映画化されることになり、都内で5日、製作発表会が行われた。映画では、山形の極貧の村に生まれ、家族のため奉公に出るおしんの苦難の少女期にスポットを当てる。

 2471人の中からオーディションでおしん役に選ばれたのは、宮崎県出身の小学3年、浜田ここね(8)。ロケ地の山形を訪れた際、生まれて初めて見る雪に大喜びしたといい、「おしん役を一生懸命、頑張ります」とあいさつした。

 おしんの母ふじ役の上戸彩(27)は放送当時、生まれていなかった。「『母親役は早いんじゃないか』とか、『母親に見えない』とたくさん言われるのは、目に見えています」。それでも、屈託なく笑う浜田に「この笑顔が映画の中では一切、見られないと思うと、つらいな~。今のうちに笑っておこうね」と実の母のようなまなざしを向けた。また、ドラマでふじを演じた泉ピン子(65)から「命をかければ大丈夫」と激励され、「すてきなアドバイスをいただきました。命をかけてやらせていただきます」と気を引き締めた。

 今年は放送30周年の節目で、脚本家の橋田寿賀子氏は「今はいじめが問題になっているけど、『あれだけいじめられても、頑張って生きたよ。少々いじめられても我慢しよう』と思ってもらえれば」と言った。ドラマでおしんの少女期を演じた小林綾子(40)も、おしんの2度目の奉公先「加賀屋」の若奥様役で出演する。泉はおしんの理解者、「加賀屋」の大奥様を演じる。撮影は今月中旬から山形県内でスタートし、10月に公開予定。【森本隆】

 ◆おしん

 NHK朝の連続テレビ小説として83年度に放送された。橋田寿賀子氏が原作、脚本。山形の貧しい農家に生まれたおしんが、7歳で子守奉公に出て、数々の試練に耐える物語。小林綾子が幼少期、田中裕子が青年期、乙羽信子が老年期のおしんをそれぞれ演じた。視聴率は平均52・6%、瞬間最高で62・9%を記録。世界86の国と地域でも放送され、イランやタイなどでは80%以上の視聴率をマークした。