佐藤健(25)主演の2部作「るろうに剣心

 京都大火編/伝説の最期編」が石原裕次郎賞に輝いた。大友啓史監督(48)がメガホンをとり、今年の実写映画NO・1の興収を記録した。

 「るろうに剣心」が生身の肉体を駆使したアクションで新たな地平を開いた。佐藤は剣豪・緋村剣心を熱演し、若い観客の心をつかんだ。2作合計で興収約95億円は今年の邦画実写作品でトップ。受賞も加わり「命を懸け、人生を懸けた。うれしい」と喜んだ。

 出演したNHK大河ドラマ「龍馬伝」の演出を手掛けた大友監督からオファーされた。原作を愛読し、憧れた剣心役に心が動く一方、人間離れした剣技の実写映像化は無理だと思った。ところが大友監督と谷垣健治アクション監督が作り上げた原作を限界まで再現したアクション映像を見て「これなら出来る」と確信。12年の第1作に参加した。

 第1作が興収30億円を突破、続編が決まると作品を見直した。「全然ダメ。見られるものじゃない」と感じた。続編は負傷覚悟で危険と紙一重の殺陣やアクションに挑戦。第1作で満足できなかった“壁走り”も披露。屋根を駆け抜ける場面も命綱なしで演じた。「裾を踏むと頭から倒れる。走ることがまず怖かった」。

 剣心を演じると決めた3年前「日本映画の歴史の中で重要な映画を作る」と誓った。「ハリウッドと戦える作品になったと思う」。志は賞に名を冠する裕次郎さんに通じると水を向けると「恐縮です」と照れた。【村上幸将】

 ◆佐藤健(さとう・たける)1989年(平元)3月21日、埼玉県生まれ。06年テレビ朝日系「プリンセス・プリンセスD」でデビュー。07年同局系「仮面ライダー電王」でドラマ初主演。映画は09年「ROOKIES-卒業-」、10年「BECK」など。170センチ、血液型A。

 ▼「るろうに剣心

 京都大火編/伝説の最期編」

 緋村剣心(佐藤健)は新政府から、日本征服をたくらむ志々雄(藤原竜也)打倒を依頼されたが部下の宗次郎(神木隆之介)に逆刃刀を折られる。志々雄の戦艦に乗り、京都に来た薫(武井咲)を救おうと海に落ち、比古清十郎(福山雅治)に救われる。大友啓史監督。

 ▼石原裕次郎賞・選考経過

 「るろうに剣心」が他を突き放した。「アクションの今後、漫画原作の映画化のあるべき形を示し、これからの日本映画が大丈夫だと思った」(伊藤さとり氏)と高い評価が相次いだ。「映画で当たり役が少ない時代に、佐藤健さんが存在と彼の魅力だけで観客を呼んだ」(寺脇研氏)と評価する声も上がった。

 ◆石原裕次郎賞

 戦後を代表する映画スター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、石原プロモーションの全面協力で日刊スポーツ映画大賞に併設。興行的にヒットした作品か、完成度が高く大作感のある娯楽作に贈られる。賞金300万円。