佐藤健(25)主演の2部作「るろうに剣心

 京都大火編/伝説の最期編」が石原裕次郎賞に輝いた。大友啓史監督(48)がメガホンをとり、今年の実写映画NO・1の興収を記録した。

 大友監督は「いただいた瞬間、記憶の中のものがよみがえり、ご縁を感じる」と喜びをかみしめた。演出したNHK大河ドラマ「龍馬伝」の準備で過去に龍馬を描いた作品を見た。裕次郎さんが龍馬を演じた69年映画「人斬り」が印象的だった。「スターたちが龍馬をどう演じたのかを踏まえつつ、勝新太郎さんが演じた人斬りの岡田以蔵も含め、全く違うものを作ろうと考えた」。以蔵役に佐藤を起用。20歳と若かったが、高い身体能力と役に向き合う姿勢にかけた。

 NHK時代の09年に「ハゲタカ」を映画化した。「映画は面白い。どうやって肉体で映画作りをするか」というテーマが湧いた。退局後、監督第1作に「るろうに剣心」を選んだ。佐藤を起用し、独創的でスピード感あるアクションの映像化を成功させた。「邦画が元気だった時代に作られた活劇を目指した。裕次郎さんはその欲望を満たした人。大衆が熱狂したのはヒーローが輝いたから。新しいヒーローを現代に登場させたかった。だから受賞はうれしい」。【村上幸将】

 ◆大友啓史(おおとも・けいし)1966年(昭41)5月6日、岩手県生まれ。90年NHK入局。97年から2年間ハリウッドで脚本や映像演出を学ぶ。帰国後「ちゅらさん」「ハゲタカ」「白洲次郎」「龍馬伝」などの演出と09年映画「ハゲタカ」を監督。11年退局後「るろうに剣心」シリーズと13年「プラチナデータ」を手掛けた。